アダプティブ ソフトウェア開発: チームが変化を念頭に置いてビルドする方法
By Atlassian
重要ポイント
アダプティブ ソフトウェア開発 (ASD) は、計画を柔軟なものとして扱い、フィードバックを通じて作業を継続的に改善することで、チームが不確実性を管理するのに役立ちます。
ASD は、推測、コラボレーション、学習という 3 つの反復フェーズを中心に構築されています。
チームは、単にチケットやドキュメントが完了したかどうかだけでなく、ユーザーが実際にテストし、レビューし、そこから学びを得られるものによって進捗を測定します。
アダプティブ開発は、要件が変化するプロジェクト、顧客ニーズが進化するプロジェクト、または高い技術的不確実性を伴うプロジェクトに最適です。
ソフトウェア プロジェクトは、進行するにつれて不確実性が増すことがよくあります。優先順位が変化したり、顧客フィードバックによって製品要件が変わったり、開発の開始後に技術的課題が発生したりすることもあります。
厳格な計画に固執するチームは、プロジェクトの途中でそのような変更が発生した際に苦労することがよくあります。
アダプティブ ソフトウェア開発は、異なるアプローチを提供します。変化を妨げとして扱うのではなく、開発プロセスそのものの一部として扱います。
チームはソフトウェアをビルドしながら、継続的に計画、提供、学習、調整を行います。このガイドでは、アダプティブ ソフトウェア開発とは何か、どのように機能するか、さまざまな開発手法の中でどのような位置付けにあるかについて説明します。
アダプティブ ソフトウェア開発 (ASD) とは
アダプティブ ソフトウェア開発 (ASD) は、要件、優先順位、技術的な理解が時間の経過とともに変化することが予想されるプロジェクト向けに設計されたソフトウェア開発アプローチです。
ASD は、1990 年代にさまざまなアプリ開発手法が急速に普及する中で、Jim Highsmith と Sam Bayer の取り組みから生まれました。この手法は、チームが事前にすべての要件を予測できない複雑なソフトウェア プロジェクト向けに設計されました。
他のより厳格な開発モデルとは異なり、ASD はソフトウェア開発ライフサイクルにおいて不確実性は避けられないものと想定しており、これが本手法の以下の 3 つのフェーズの反復サイクルに反映されています。
推測
コラボレーション
学習
この構造により、チームは情報に基づいた想定を行い、段階的にビルドし、フィードバックを収集して、理解を深めながらプロジェクトの方向性を改善できるようになります。アダプティブ ソフトウェア開発の「アダプティブ」の部分にはこのような意味があります。
計画は依然として重要ですが、それは固定されたコミットメントではなく、柔軟な想定として扱われます。
チームは、デリバリーのフィードバック、関係者の意見、テストのインサイト、顧客の反応を活用して、次の作業サイクルの形を決定します。進捗は、タスクが完了したかどうかだけでなく、ソフトウェアのユーザビリティ、学びの検証、および意思決定の改善という観点から測定されます。
ASD は、アジャイル手法に見られる多くの考え方、特にコラボレーション、対応力、反復的なデリバリーを重視する点とも密接に一致しています。
ASD の主要な属性
アダプティブ ソフトウェア開発には、変化する環境においてチームが効果的に機能するのを支援する、いくつかの主要な特徴があります。
ミッション重視の計画: チームは明確なプロダクト目標やビジネス目標から始めますが、すべての要件が完全に定義されている必要はありません。これにより、チームに過度に厳格な計画を強いることなく、全体的な方向性を定めることができます。
段階的なデリバリー: チームは、より早い段階でフィードバックを収集し、優先順位を容易に調整できるよう、利用可能なプロダクトのインクリメントをより短いサイクルで提供します。
コラボレーション: 開発者、プロダクト マネージャー、デザイナー、品質保証テスター、および関係者は、それぞれ孤立したフェーズで作業するのではなく、プロセス全体を通じて密接に連携して作業します。
学習: チームは、想定、技術的な意思決定、およびデリバリーの成果を継続的に評価します。フィードバック ループは、最終的なレビュー ステップではなく、開発の積極的な一部として扱われます。
柔軟性: チームは、説明責任を維持しながら、プロジェクトの進行に合わせてスコープ、優先順位、リスク、依存関係を定期的に再評価します。
多くの組織では、アダプティブなチームの長期的なパフォーマンスを評価するために、アジャイル指標も使用しています。サイクル期間、リード タイム、スループット、欠陥の傾向などの指標により、チームはデリバリーのパターンを理解し、改善の機会を特定できるようになります。
アダプティブ ソフトウェア開発のしくみ
ASD における 3 つの反復的なフェーズのそれぞれで何が起こるのか、その概要と詳細な解説を以下に示します。
フェーズ | 発生する事象 | チームが作成すべきもの |
推測 | ミッション、想定、制約、優先順位を定義する | 柔軟な計画、バックログ、ゴール、リスク |
コラボレーション | 役割を超えて連携し、問題を解決してインクリメントを提供する | 動作するソフトウェア、ブロッカーの解決策、フィードバック |
学習 | 結果をレビューし、想定を検証して、次のサイクルを調整する | ふりかえりのメモ、更新された優先順位、改善 |
推測: 不確実性に備える
推測フェーズでは、すべての要件が事前に把握できていない状況下での現実的な計画策定に重点を置きます。
チームは、現在のサイクルのミッションを定義し、既知の制約を特定し、想定について話し合い、リリースのゴールの概要をまとめます。固定された長期的な計画を立てる代わりに、チームはプロジェクトとともに進化できる直近のゴールを設定します。

このフェーズには多くの場合、製品バックログの構築や改善、技術的リスクの特定、機能の優先順位付け、直近の作業の見積もりが含まれます。
たとえば、顧客オンボーディング プラットフォームを構築しているプロダクト チームは、達成したい主要なビジネス成果を把握しているかもしれません。しかし、顧客がワークフローをどのように利用するかについては、まだ把握している最中かもしれません。
チームは、すべての要件をすぐに確定させるのではなく、顧客の行動が明確になるにつれて適応できる柔軟な製品ロードマップを作成します。ASD はウォーターフォール開発アプローチとよく比較されますが、それは両者がまったく異なる計画モデルを表しているためです。
ASD が、チームがビルドしながら学習する余地を必要とするプロジェクトをサポートする一方で、ウォーターフォールは、開発が始まる前にチームがすべての要件を確実に定義して承認できる場合に適しています。
これは、要件が安定し、承認が固定され、チームが明確に定められた順次的な計画に従うことができる、規制の厳しいプロジェクトや契約主導のプロジェクトでよく見られます。
コラボレーション: 役割の枠を超えて問題を解決する
アダプティブ開発は、技術系関係者と非技術系関係者との間の緊密なコラボレーションに依存しています。開発者、プロダクト マネージャー、デザイナー、品質保証テスター、顧客、ビジネス リーダーの全員が、開発プロセス全体を通して貢献します。
部門間での作業の受け渡しをバックグラウンドで行うのではなく、チームはオープンかつ継続的に協力して問題を解決します。コラボレーションにより、要件が変更されたり技術的なブロッカーが発生したりした際に、チームは迅速に対応できるようになります。
課題が早期に発見され、意思決定が迅速に行われるようになり、チームはトレードオフをより適切に把握できるようになります。コラボレーションにより、デリバリー作業と顧客の期待との整合性も向上します。
チームは、リリースの締め切りの直前に問題を発見するのではなく、作業の進行中に想定を検証できます。

スクラムやカンバンなどのフレームワークを使用する組織でも、同様のコラボレーション原則を適用することがよくありますが、ASD では特定のセレモニーやワークフローのルールに従うことよりも、不確実性を通じた学習により重点を置いています。
Jira ボードは、開発ステージを進む作業をチームが可視化するのに役立ちます。可視性を共有することで、部門横断型のチームが進捗を追跡し、ブロッカーを特定して、複数の関係者間で優先順位を調整することが容易になります。
学習: フィードバックを、より良い作業へとつなげる
学習フェーズでは、チームが結果を評価し、次のサイクルをどのように改善するかを決定します。
チームはデリバリー中に何が起きたかをレビューし、結果と想定を比較して、今後の作業に向けた調整点を特定します。学習は、ユーザー フィードバック、テスト結果、運用インシデント、関係者のレビュー、デリバリー データなど、複数の情報源から得られます。

チーム メンバーが互いに協力して作業する方法を改善することがゴールの 1 つであるため、このフェーズには多くの場合、アジャイル レトロスペクティブ、スプリント レビュー、リリース分析が含まれます。チームは、コミュニケーションを見直したり、優先順位付けを調整したり、開発ワークフローを改善したりすることもあります。
チームは、顧客の導入状況や技術的なパフォーマンスをレビューすることで、製品を改善することもできます。
ASD では、学習を継続的な改善の一環として扱います。デリバリー サイクルを通じて継続的に小さな調整を行うことで、長期的には製品の品質、デリバリーのスピード、チームのコラボレーションを大幅に向上させることができます。
Jira のレポート機能は、チームがデリバリーの傾向を分析し、スプリントの成果を監視し、作業パターンをレビューするのに役立ちます。レポートは、将来のデリバリー サイクルに影響を与える、繰り返し発生するブロッカー、ワークロードの偏り、または計画のギャップをチームが特定するのに役立ちます。
アダプティブ ソフトウェア開発のメリットと課題
アダプティブ ソフトウェア開発は、不確実な環境や変化の激しい環境でうまく機能しますが、それでもチームはプロセスを慎重に管理する必要があります。各メリットと、それらにガードレールが必要な理由は次のとおりです。
メリット | 役立つ理由 | 管理の課題 |
より大きな柔軟性 | チームは、詳細を把握するにつれて優先順位を調整できる | 明確なゴールがないと、過度な柔軟性はスコープ クリープを引き起こす可能性がある |
より迅速なフィードバック ループ | チームはより早く想定を検証できる | フィードバックを整理し、明確な次のステップに変換する必要がある |
より強固なコラボレーション | 部門横断型チームが協力して複雑な問題を解決できる | 役割と決定権が不明確な場合、コラボレーションのスピードが落ちる可能性がある |
リスク管理の改善 | チームは、不明点が大きなブロッカーになる前にそれらを明らかにできる | チームは、リスク、依存関係、トレードオフを可視化する必要がある |
継続的改善 | 各サイクルは、チームが製品とプロセスを改善するのに役立つ | チームには、デリバリーだけでなく、振り返りの時間も必要である |
要するに、アダプティブ開発には規律が必要です。混乱やデリバリーの不安定さを避けるため、チームには引き続き、共有されたゴールや優先順位付けプロセスの可視化、そして明確なコミュニケーション構造が必要です。
アダプティブ ソフトウェア開発と他の手法との比較
アダプティブ ソフトウェア開発は、いくつかの最先端の開発アプローチからなるエコシステムの中に存在し、それぞれのアプローチには独自の強みとユースケースがあります。これらの手法は、チームが作業をどのように構成し、変化にどう対応するかという点で異なります。
テスト手法 | 最適な用途 | アダプティブ ソフトウェア開発との比較 |
アダプティブ ソフトウェア開発 | 要件が変化する複雑なプロジェクト | 柔軟な計画、コラボレーション、および学習のサイクルに重点を置く |
アジャイル | 反復的な作業向けの幅広いマインドセット | ASD は、より広範なアジャイル ファミリーに含まれるアジャイル手法の 1 つ |
スクラム | 構造化されたスプリントで作業するチーム | スクラムはより役割とセレモニー主導であるのに対し、ASD は学習を通じた適応を中心とする |
カンバン | 継続的なフローと作業の可視化による管理 | カンバンは作業フローと仕掛かり作業 (WIP) の制限に重点を置く一方、ASD は不確実性の中での学習を重視します。 |
ウォーターフォール | 要件が固定された安定したプロジェクト | ウォーターフォールは直線的に進行しますが、ASD では計画や要件が変化することを前提としています。 |
アダプティブ ソフトウェア開発を使用するタイミング
アダプティブ ソフトウェア開発は、チームが明確な目標を持ちながらも、その目標に到達するまでの道筋が変化する可能性がある場合に適しています。特に、次のような状況では ASD が効果を発揮します。
プロジェクトの進行中に要件が変更される可能性が高い場合
顧客からのフィードバックを継続的な開発の意思決定に反映させる必要がある場合
短いサイクルでリリース、テスト、改善を繰り返す必要がある場合
複数の関係者が優先事項の変化に関与している場合
技術的な複雑さにより、未知のリスクや依存関係が生じる場合
新しい製品を開発している場合や、未開拓の市場に参入する場合
デリバリーの成功が迅速な反復と学習に左右される場合
開発プロセス全体を通じて通して、部門横断的なコラボレーションが不可欠な場合
アダプティブなアプローチは、組織が長期的な製品の方向性と短期的な柔軟性のバランスを取る上でも役立ちます。チームは共通のミッションを維持しながら、学びを深めるたびに戦術を柔軟に調整していくことができます。
変化するソフトウェア要件に適応できるチームを構築する
アダプティブ ソフトウェア開発の重要なポイントは、学習と適応を計画からの逸脱ではなく、ソフトウェア デリバリーにおいて当然起こるプロセスとして捉えることです。また、アダプティブ ソフトウェア開発には、明確な目標、透明性の高いワークフロー、定期的なフィードバック ループ、そして信頼性の高いコラボレーションを支えるために十分な仕組みも備わっています。
Jira は、バックログで作業を整理し、ボードで進捗を可視化し、タイムラインで変化する作業を計画し、レポート機能でデリバリーの傾向を分析できるように支援することで、このアプローチをサポートします。これらの機能により、チームは学習の各サイクルを次のデリバリー サイクルへとつなげることができます。
Jira を今すぐお試しいただき、変化する要件、進化し続ける顧客の期待、そして複雑なデリバリー環境に対応するアダプティブ ソフトウェア開発チームをどのように支援するかをご確認ください。
アダプティブ ソフトウェア開発に関するよくある質問
アダプティブ ソフトウェア開発は誰が考案したものですか?
アダプティブ ソフトウェア開発は、Jim Highsmith 氏と Sam Bayer 氏によって考案されました。両氏は RAD (ラピッド アプリケーション開発) の概念を発展させ、変化する要件を伴う複雑なソフトウェア プロジェクトをチームが効果的に管理できるよう支援することに重点を置いて、この手法を開発しました。
アダプティブ ソフトウェア開発では、短いリリース サイクルが必要ですか?
必ずしも必要ではありません。多くのアダプティブなチームは、より迅速なフィードバックによって学習や意思決定の質が向上するため、短いサイクルで開発を進めています。しかし、ASD が重視しているのは、固定されたリリース スケジュールに従うことではなく、変化に柔軟に対応しながら学習を重ねていくことです。
アダプティブ ソフトウェア開発では、どの程度のドキュメントが必要ですか?
ASD ではドキュメントも重視しますが、一般的には、コラボレーション、意思決定、デリバリーを支援するために役立つドキュメントに重点が置かれます。ドキュメントは、厳格なプロセス要件としてではなく、実用的なツールとして扱われます。