アジャイルポートフォリオの管理

適切なチームの適切な人材に適切なコンテキストを与えれば、適切な成果が得られます。

 

Dan Radigan Dan Radigan
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多くのチームや多数の開発者で構成される大規模ポートフォリオでアジャイルプラクティスを使用することはできるでしょうか? もちろんです。Netflix は大規模組織での十分に調整されたアジャイル開発を「しっかりと連携し、ゆるく結合している」と表現しました。コンテキストと自律性が果たす役割のほか、うまく機能しているアジャイルポートフォリオに共通する特徴を見ていきましょう。

適切なコンテキストを設定する

大規模なアジャイル組織の経営上層部はチームを非常に重視し、自らの役割はなおざりにしがちです。経営上層部は戦略と運営の指揮を執る立場にあるため、組織全体のアジャイル文化を推進できます。製品ポートフォリオ全体でのアジャイル開発では、戦略と運営が「テーマ」、つまり一定期間に対して定められたさまざまな集中作業を表します。テーマを設定することで、複数のチームが効果的に協力して 1 つのビジネスイニシアチブに取り組み、組織のゴールを達成することができます。

文化に透明性があると、報復を恐れることなく問題が明るみに出され、社内政治の負の側面が最小化されます。その結果、適切な解決策を見つけ出し、チームを前進させることが容易になります。

組織全体にアジャイルプラクティスを拡張

大規模なアジャイル開発に成功している企業には共通して 3 つの特徴があります。第 1 の特徴は、プログラム全体が反復的である点です。従来のポートフォリオ管理ではトップダウンの計画を重視し、長期にわたって作業を展開します。しかし、アジャイルポートフォリオ管理では、個々のアジャイルチームの「構築、測定、学習」サイクルのコンセプトを取り入れ、規模を拡大して適用します。チーム間で協力、モジュール式設計、定期的な情報共有を行うことによって、長期的なアジャイル計画を実施します。また、チームが作業範囲、作業実行のタイミング、業務を完了するために割り当てられたリソース (プランニングの鉄のトライアングルの主な要素) においてトレードオフを行えるよう権限を与えます。これは高い柔軟性につながり、固定された計画の実行継続から、ビジネス戦略やゴールに沿って価値を実現し、具体的な成果を挙げることへと主眼が移行します。

第 2 の特徴は、ポートフォリオ全体でコミュニケーションを図っている点です。知識を共有し、組織のサイロ間の障壁を取り払います。チームレベルでのアジャイルセレモニーと同様に、組織全体でコンテキストを常に共有することで、ゴール、進捗、阻害要因が全員に見えるようにしています。このようにすることで、組織内での役割にかかわらず、チームメイトや仕事仲間の間でお互いを尊重する文化が育まれ、共感と理解を土台とするやりとりが促されます。

第 3 の特徴は、リリースに複数のプログラムが関係している場合でも、ポートフォリオ全体で頻繁にリリースを行っている点です。スプリントサイクルに合わせて、優れた API と技術的な分離、効率的な自動化テスト、展開パイプラインに労力を投じることで、誰がいつ何を出荷しているのかを常に把握できるようになっています。

1 つのビジョンを共有しつつ、多様性を尊重

従来のアジャイル開発と同様に、ポートフォリオアジャイル開発の作業は個人ではなくチームに任せられます。各チームが組織の上位ゴールを理解し、自らのプロセスとデリバリーを最適化する力強さを持っています。

たとえば、ストーリーポイント値は作業の見積もりによく使用され、一連の値はフィボナッチ数列に基づいています (0.5、1、2、3、5、8、13、20、40、100)。おそらくチーム A にとっての 8 は、チーム B にとっての 8 とは異なります。そのため、経営上層部はチームをベロシティの数値でのみ評価するべきではありません (ベロシティの数値は、チームがスプリント内で完了できるストーリーポイントの数です)。ストーリーポイント値の調整方法はチームによって異なるため、チームごとにベロシティが固有であることを理解する必要があります。

同様に、アジャイルチームには異なるリリースの文化があります。スクラムチームは通常、各スプリントの最後にソフトウェアをリリースし、カンバンチームは継続的に、またはプロダクト所有者がビルドを本番環境へプッシュするようリクエストした時点でリリースします。アジャイルポートフォリオにおける大きな課題の一つは、大量のコードを一度にリリースすること、あるいはそれを回避することです。エンジニアリングスタッフ全員が当直しなければならないようなリリースは誰も望んでいません。コードを一枚岩のデザインにするのではなく、モジュラーデザインによって独立したリリースストリームに分割すると、ビジネス部門全体での柔軟性と自主性の点で大きな役割を果たします。また、モジュラーデザインは、各リリースのコードの変更を減らし、各リリースにおけるリスクを削減します。これにより、後で問題を診断し、修正するのが容易になります。

ポートフォリオ組織のワークフローも自律性を備えています。社内のさまざまな部門で活動するチームにはそれぞれ固有のワークフローがあります。いずれも反復型開発や定期的なふりかえりといったアジャイル手法に従っていても、ソフトウェアエンジニアリングチームとマーケティングチームでワークフローやプロセスが異なるのは当然です。あるいは、2 つの開発チームがワークフローを複数の状態に分けていることもありますが、それでも特に問題はありません。大規模なアジャイルポートフォリオは、この多様性を通じて知識の共有という利点を享受できます。多くの試みがなされるほど、組織全体で共有できる知識も増えることになります。

成長に伴ってアジリティを拡張

アジャイルフレームワークで大規模ポートフォリオに取り組むということは、チームレベルでのアジャイル手法を組織全体に拡大するということです。アジャイル文化は組織の力を増強します。中核原理に従って共有することで、アジャイル文化が自然に上下に広がります。ただし、ポートフォリオの成功は最も弱いチームと同レベルとなります。成功を確実なものとするには、経営上層部がすべてのチームと協力し、健全なアジャイル文化を育む必要があります。

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