カンバン vs スクラム

スクラムとカンバンのどちらか一方を選択する際の主な考慮点、および決断できない場合はどうするかについて考察します。

Max Rehkopf Max Rehkopf
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アジャイルとは、指針となる一連の目標と原則であり、カンバンとスクラムはチームがアジャイルの原則を守り、責務を完了するのに役立つフレームワークです。

スクラムとカンバンの実践方法の違いは簡単に区別できますが、それは表面的な違いにすぎません。実践方法は違っても原則は概ね同じです。どちらのフレームワークもより優れた製品 (およびサービス) をできるだけスムーズに構築するのに役立ちます。

ここで、整理しておきます。

アジャイルとは、構造的かつ反復的なプロジェクト管理および製品開発手法です。製品開発の変動的な性質を念頭に置き、チームが脇道にそれることなく自己管理をして変化に対応できるようにします。今やアジャイルは競争についていくために不可欠な手法です。ブラックボックスで数年 (あるいは数か月) かけて製品を開発する余裕など誰にもないためです。ですからアジャイルの適切な実践が今まで以上に重要になっています。

カンバンの本質は作業を可視化し、進行中の作業に上限を設け、効率 (またはフロー) を最大化することにあります。カンバンチームは、プロジェクト (またはユーザーストーリー) の開始から終了にかかる時間の短縮に焦点を当てます。そのためにカンバンボードを使用し、作業フローを継続的に改善します。

スクラムチームは "スプリント" と呼ばれる一定期間中、稼働可能なソフトウェアのリリースにコミットします。目標は、顧客のフィードバックをすぐに収集しまとめる学習ループの構築にあります。スクラムチームは特定の役割の導入、特別なアーティファクトの作成、セレモニーの定期的な開催を通じて、作業を進行させます。スクラムの詳細な説明は『スクラムガイド』をご覧ください。

 

スクラム

カンバン

期間

スクラム

長さが固定された定期的スプリント (2 週間)

カンバン

継続的なフロー

リリース方法

スクラム

各スプリントの終了時

カンバン

継続的デリバリー

役割

スクラム

プロダクト所有者、スクラムマスター、開発チーム

カンバン

役割不要

主要指標

スクラム

ベロシティ

カンバン

リードタイム、サイクル期間、WIP

変更に関する考え方

スクラム

チームはスプリント中に変更を加えない。

カンバン

変更は随時発生する可能性あり

スクラムボードを使用するチームメイト | アトラシアンアジャイルコーチ

スクラム: 構造的なアジャイル手法

チームはスクラムを使用して、価値ある作業のインクリメント (増分) を各スプリントの終了までに確実にリリースします。スクラムは経験主義的な概念を基盤とし、作業の小規模なインクリメントに焦点を当てることで、顧客のフィードバックから学び、取得した情報を次の行動に役立てます。以下はその詳細です。

スクラムの期間

スクラムは、スプリントが 2 ~ 4 週間とスピーディーに展開し、明確な開始日と終了日を持ちます。このようにタイムフレームが短いため、複雑なタスクはより小さなストーリーに分割しチームがすぐに学習できるようにします。ここで問題となるのが、チームは使用可能なコードをこれほど早くリリースできるかということです。

スプリントではスプリント計画スプリントレビューふりかえりの各ミーティングが大きな区切りとなります。さらに、デイリースクラム (スタンドアップ) ミーティングが小さな区切りとなります。これらのスクラムセレモニーは簡潔で、継続的に開催されます。

リリース方法

昨今では、スクラム中に臨時リリースを行うことがよくありますが、各スプリントの終了時にリリースするのが長い間、ベストプラクティスとされてきました。チームは各スプリントの目的とスプリントの最終目標を設定し、スプリントレビューミーティングでリリースを承認または却下します。

スクラムの役割

スクラムには 3 つの明確に定義された役割があります。

  • プロダクト所有者は顧客の代弁者として、プロダクトバックログを管理し、開発チームの実行作業の優先順位付けを支援します。
  • スクラムマスターは、スクラムの原則に沿って作業するようにチームを支援します。
  • 開発チームは実行作業を選択し、インクリメントを提供して、共同の説明責任を実行に移します。

スクラムチームには管理者はいません。メンバーは自らを管理し、責任の違いにかかわらず同等の立場にあります。各メンバーは、顧客に価値を提供するという共通目標でつながっています。

主要指標

ベロシティ — スプリントで完了されるストーリーポイントの数 — は、スクラムチームの主要な指標です。今後のスプリントの課題やスクラムチームが今後のスプリントで取り組む作業量の参考となります。1 つのスプリントで平均 35 のストーリーポイントを完了する場合 (ベロシティ = 35)、スプリントバックログに 45 ポイントを含めるわけにはいきません。

変更に関する考え方

スプリント中、チームはスコープをできるだけ変更しないように努めます。ただ、フィードバックを受け、自分たちの取り組みが想定していたほど顧客にとって価値がないとわかることが時折あります。このような場合は顧客に価値を届けることを最優先して、スプリントのスコープを変更すべきです。変更によって潜在的には提供可能なインクリメントがリスクにさらされるため、スクラムチームはスプリントのふりかえりミーティング中に、今後変更を制限する方法について話し合います。

スクラム手法の詳細については、「スクラムとは何か」を参照してください。

カンバンボードを使用するチームメイト | アトラシアンアジャイルコーチ

カンバン: 継続的改善、柔軟なプロセス

カンバンは作業の可視化、進行中の作業 (WIP) の上限設定、"進行中" から "完了" までスピーディーな移動に役立ちます。

カンバンは優先度と規模が多岐にわたるリクエストを多数受けるチームに最適です。スクラムではスコープ内の要素を厳格に管理する必要がありますが、カンバンは流れに任せることができます。決断を下す際は、次の 5 つの考慮点を参考にしましょう。

カンバンの期間

カンバンは継続的なワークフロー構造を基盤とするため、チームは優先順位の変更に機敏に順応する用意があります。作業項目 — カードで表現 — がカンバンボードに整理され、そこでワークフローのある段階 (列) から次の段階に移動します。一般的なワークフローの段階として、ありきたりですが To Do、進行中、レビュー中、ブロック済み完了などが挙げられます。

カンバン方式が最も優れているのは、チームの作業方法に合わせて列をカスタマイズできる点です。筆者のチームはコンテンツを提供するため、列は次のように流れます (簡略版): バックログ優先大枠を準備済み記述中デザイン中テクニカルレビューリリース済み。ボードは週に 1 単位前後のコンテンツをリリースしていることやボトルネックの場所 (テクニカルレビューで究明!) の確認に役立ちます。

リリース方法

カンバンには定期スケジュールや所定の期日はありません。準備ができ次第、更新がリリースされます。

理論的にはカンバン方式では固定的なタスクの達成期日は設定されません。タスクが予定より早く (あるいは遅く) 完了した場合、スプリントレビューのようなリリースのマイルストーンを待たずに、適宜、リリース可能です。

カンバンの役割

チームメンバー全員がカンバンボードの所有者です。アジャイルコーチに協力を求めるチームもありますが、スクラムと違い、順調な運営を総合的に管理する 1 人の "カンバンマスター" はいません。ボードで協力し、タスクを達成するのはチームの共同責任となります。

主要指標

リードタイムとサイクル期間はカンバンチームにとって重要な指標であり、タスクが開始から完了まで移動するのにかかる平均時間数を示します。サイクル期間の改善は、カンバンチームにとって成功を表します。

カンバンチームが利用するもう 1 つの分析ツールが累積フロー図 (CFD) です。各ステータスにおける作業量を把握するために使用され、処理能力を向上するために解決が必要なボトルネックを特定します。

ボトルネックは進行中の作業 (WIP) の上限を通じても対処することができます。WIP の上限によって、1 列に同時に配置可能なカードの枚数を限定します。この上限に達すると、Jira Software などのツールはその列を制限し、チームは一丸となって項目を前進させます。

変更に関する考え方

カンバンのワークフローはいつでも変更可能です。新しい作業項目をバックログに追加し、優先順位に基づき既存のカードをブロックしたり、すべて削除したりできます。チームの処理能力が変化した場合にも、WIP の制限を再測定し、それに応じて作業項目を調整できます。カンバン方式の強みはこうした柔軟性にあります。

カンバン方式の詳細については、「カンバンとは何か」を参照してください。

アトラシアンアジャイルプロジェクト | アトラシアンアジャイルコーチ

スクラムのツール vs カンバンのツール

アジャイルコミュニティでは、ツールに関する比較には意味がないと考えられていますが、ツールの選択がフレームワークの選択を左右し、フレームワークがチームの採用する原則を左右するケースをよく目にします。この決断は本来逆方向に下されるべきです。  

スクラムの原則に方向性を合わせ、スクラムフレームワークに満足したら、自分たちにとって有用なスクラムツールを見つける番です。これはカンバンでも同様です。ひいき目もありますが、アジャイルチームに最も選ばれているソフトウェア開発ツールとして、Jira Software をお勧めします。

Jira のスクラムとカンバン向けの専用プロジェクトタイプを利用すると、各フレームワークの原則を実現できます。当社トピック「Jira Software を使用したスクラムの学習」および「Jira Software を使用したカンバンの学習」のガイドも利用を開始するのに役立ちます。

カンバン vs スクラム: 選択できない場合

スクラムとカンバンは "定石に従ったアジャイル" です。有効性が実証済みの手法であり、反論する余地はほとんどありません。名言を借りれば、「スクラムを選んだからといって会社を首にはなりません」

ただし、決断は絶対的なものである必要はありません。スクラムとカンバンの影響を受けたハイブリッドモデルを使用するチームは多数あります。Jira Software と最近リリースされた次世代プロジェクトでもハイブリッドモデルを利用することができます。

次世代プロジェクトを利用すると、スクラム、カンバン、またはこれらの組み合わせと、自分のニーズに合うアジャイル機能を選択できます。最初から 1 つのフレームワークを導入するのでなく、次世代プロジェクトでは、自分のチームに必要な機能 (および不要な機能) を理解するのに合わせて、段階的に強力な機能を追加できます。

どちらのテンプレートもチームのニーズに合わせて進化できることを認識したうえで、安心して次世代のスクラムまたはカンバンを選択できます。

どちらを選択するにしても、しばらく使用し続けましょう。バックログのいくつかの作業を開始から完了まで実行し、その後にチームにうまくいった点といかなかった点を尋ねます。スクラムとカンバンを試し、こうした質問を尋ねることで、アジャイルのメリットをフル活用することができます。

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