カンバンカードの概要

Max Rehkopf Max Rehkopf
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カンバンカードは、作業の視覚化、進行中の作業 (WIP) の制限、効率 (またはフロー) の最大化を支援する作業管理フレームワークであるカンバンの必須コンポーネントです。各カンバンカードは単一の作業項目を表し、完了の段階ごとに移動しながら物理的または仮想のカンバンボードに掲示されます。

カンバンカードの概念を理解するために、ホワイトボードの付箋を使用して作業項目を表すソフトウェア開発チームを想像してみてください。バグや機能に取り組む際、チームは優先、設計、開発、テスト、ブロック、完了というラベルの付いた列に付箋を移動します。

たとえば、設計者に余裕があれば、優先のカンバンカードを設計に移動させ、開発の準備ができたら、開発者が完了したカードを設計から開発に移動させます。カンバンカードを使用すると、これらの段階を通じて作業項目の進捗状況を追跡できるため、チームは作業項目の履歴とステータスを常に把握できます。

カンバンとのその主要なコンポーネントを表した図 | アトラシアンアジャイルコーチ

カンバンカードの簡単な歴史

カンバンは、「視覚的な信号」または「信号板」を意味する日本語の単語です。カンバンカードは、1940 年代後半にトヨタの製造プロセスを改善する方法を模索していたトヨタの産業エンジニアである大野耐一氏によって発明されました。

研究でアメリカのスーパーマーケットを訪れていた大野氏は、そこの通路で面白い発見をしました。店頭在庫を常にいっぱいにしておくのは多くの時間と労力を要する作業ですが、その代わりに、そのスーパーマーケットでは、棚の 1 つがほぼ空になっていることが視覚的に確認できたときにのみ棚を補充していました。さらに、その店舗では、商品に対する当面の顧客の需要を満たすのに十分なだけの商品をその棚に補充していました。 

大野氏は、このようなジャストインタイム (JIT) デリバリーこそが製造サプライチェーンに革命をもたらすという予感を抱きました。最初の課題は、工場での多くの製造プロセスを視覚化する方法を見つることでした。彼は、それをカンバンカードで実現しました。

部品のそれぞれのケースにカンバンカードが取り付けられ、在庫がカードに示された数量を下回ると作業員が警告信号として認識します。そうすると、補充プロセスがトリガーされ、工場からはカンバンカードを入れた空の容器がサプライヤーに送られます。

部品の仕様、必要な数量、予想デリバリー時間に関する情報を含むカードを参照し、サプライヤーは注文に迅速に対応し、補充された容器とカンバンカードを、生産サイクルを継続するのに間に合うように、工場フロアに送り返します。

ほぼ半世紀にわたって、この生産システムはトヨタの成功の裏にある「秘密兵器」として機能してきました。1990 年代に会社がシステムの詳細を公開し始めたことにより、人々はその秘密を目にすることになりました。

ビジネス界の思想家たちは、トヨタ生産システムを「リーン製造」として知られる一連のプロセスに分解しました。テクノロジー企業が 1990 年代に隆盛を迎えたとき、管理コンサルタントの David J. Anderson 氏が「カンバン方式」を作成しました。これにより、情報テクノロジーやソフトウェア開発のような、目に見えない知識作業の領域へとリーン技術がもたらされることになりました。

カンバンカードの目的

カンバンカードは、ワークフローを移動する作業項目を追跡する視覚的なアーティファクトとして急速に進歩しました。本質的に、カンバンカードは、チームメンバーが視覚的に情報をやり取りして共有できるようにすることによって、チームワークを促進します。

カンバンカードを使用すると、チームは次のことができるようになります。

  • 作業項目に関する重要な詳細情報を一目で確認する。各カンバンカードには、通常、作業項目の簡単な説明と、その所有者、期日、ステータスが記載されています。カードには、ソースドキュメントへのポインターや項目の進行を妨げる問題のリストなど、追加情報を含めることができます。
  • 成果物をスムーズかつ効率的に引き渡す。カンバンカードがあると、チームは各機能分野に対して明確で一貫した想定を行うことができるようになります。作業項目をある状態から次の状態に渡すとき、つまり、計画段階から実装まで、このような明示的なポリシーがあることによって、誰が所有権を持ち、次のステップが何であるかを明確にすることができます。
  • 効率を改善する。カンバンカードを使用すると、リードタイムを簡単に追跡できます。リードタイムとは、作業項目が最初から最後まで移動するのにかかる時間のことです。カンバンカードとカンバンボードがあれば、チームがワークフローのボトルネックを特定し、プロセスを合理化できるようになります。ほとんどのチームが、リードタイムを短縮するための作業を行うことになり、結果的に仕事が早く終わることになります。

カンバンカードのメリット

カンバンカードを使用すると、整合性を保てるだけでなく、使うこと自体が楽しみになります。実際に試してみてください。このような明確で具体的な方法で進捗を追跡することで満足感を得ることができます。

カンバンカードには、それ以外にも次のようなメリットがあります。

1. カンバンカードを使用すると、非効率性を簡単に検出できる。

すでに述べたように、カンバンカードは非常に視覚性に優れているため、カンバンボードを一目見れば、作業プロセスのステップに問題があれば、簡単に見つけることができます。

ソフトウェア開発チームのテスト列に、設計と開発の 2 倍のカードが常にあれば、チームメイトがその視覚的な待ち行列をすぐに見つけます。チームにはさらにテスターが必要かもしれませんし、テスト段階の基準自体に何か問題があるかもしれません。

カンバン方式を使用すると、問題がすぐに明らかになるため、問題が発生したときに簡単に特定して取り除くことができます。これは、カンバン愛好家が「継続的な改善」について話すときによく引き合いに出されます。

2. カンバンカードがジャストインタイムのデリバリーを促進する

カンバンカードは、在庫レベルを追跡し、資材が積み重なるのを防ぐために開発されました。製造業では引き続きこのような目的のためにカンバンカードが使用されていますが、この種の「ジャストインタイム」方式は、ソフトウェア開発などの他の業界でも役立ちます。たとえば、開発のある段階でソフトウェア機能が積み重なるのは、自動車部品が床に積み重なるのと同じことです。

チームのプロジェクトが停滞するを防ぐ方法の 1 つに、作業中の作業 (WIP) の制限があります。チームは、ワークフローの 1 つのステージに一度に入れることができるカンバンカードの数を制限します。列がいっぱいになると、チームは協力してそれらのプロジェクトを完了させてから、新しい作業を開始します。これにより、すべての作業が前進し続けます。

3. カンバンカードを使用すると、チーム間のコラボレーションを促進できる。

カンバンボードの優れた点の 1 つに、カンバンボードの共有があります。カードが列を移動すれば、通常、カードは作業者またはチーム間を移動することになります。カンバンを使用すれば、それぞれのスタッフの責務はプロセスの別々の部分であっても、誰もが同じものを見ることになります。さらに、システムが非常に視覚的なものであることから、列とカードを一目見れば、他のチームのワークフローを簡単に理解できます。それにより、カンバン方式はサイロ的な思考の優れた解決策となります。

デジタル式のカンバンカード

物理的なカンバンカードには拾い上げて動き回る楽しみがありますが、チームメンバー全員が同じ部屋で働いていない場合はどうすればよいのでしょうか? 幸運なことに、Jira SoftwareTrello のようなソフトウェアツールが多数開発されています。これらのツールを使用すると、簡単にデジタル式のカンバンカードを設定し、デジタル式のカンバンカードによる補充が可能になります。

Trello ボードに表示されたデジタル式のカンバンカード | アトラシアンアジャイルコーチ

デジタルカンバンカードには、離れたチーム同士がコラボレーションできるようになること以外にも、物理的なカードに比べていくつかのメリットがあります。Jira と Trello のカンバンカードは高度なカスタマイズが可能です。たとえば、カード上の選択した情報フィールドを表示または非表示にしたり、コメント、添付ファイル、他のカードへのリンクなどの動的コンテンツを追加したりできます。ほとんどのカンバンソフトウェアでは、カードが再割り当てされたとき、ワークフローの別の段階に移動したとき、その他の変更が行われたときにメール通知を配信するように設定できます。

ソフトウェアツールは、チームの作業効率を把握するのにも役立ちます。Jira Software などのツールでは、重要な指標を追跡して、カンバンチームのプロセスの改善に役立てることができます。リードタイム、WIP、累積フロー図を 1、2 回クリックするだけで分析できるため、非常に便利です。

デジタル化のデメリットはわずかなものですが、重要です。カンバンの目的は、作業を視覚化することです。デジタル化することによって、カンバンボードはカラフルなホワイトボードや壁から、コンピューターの世界に移行します。常に口にすることですが、「巨大な回転式のホワイトボードで新しいタブを開くことができなくなります」。

カンバンカードの一般的な使用例

カンバン方式は汎用性が高く、さまざまな分野や職業に簡単に適合させることができます。いくつかの業界での使用方法についてはすでに説明しました。たとえば、製造業であれば、組立ラインの部品の在庫補充プロセスを合理化し、小売業であれば、従業員が注文を追跡して補充できるようになります。医療業界では、医薬品の情報管理にカンバンカードが使用されています。

カンバンは、顧客向けのサービスにも特に役立ちます。サービスチームの多くは、Jira Service Desk のようなサービスデスクソフトウェアを使用しています。このようなアプリケーションでは、顧客からのフィードバックを収集し、サービスチームが対応できるカンバンカードが自動的に作成されます。

ソフトウェア業界では、バグ修正や機能を大規模で問題の多い「ビッグバン」ローンチに蓄積させないようにし、迅速なリリースサイクルで小規模かつ頻繁なアップデートを配信する継続的デリバリーを行えるように、カンバンカードが使用されます。

カンバンカードの使用を開始する

業界に関係なく、カンバンカードを使用すれば、作業項目を整理し、効率的に仕事を遂行できます。うまくいけば、継続的な改善、透明性などのカンバンの価値をチームメンバーが吸収してくれることでしょう。

使用を開始する前に、カンバンカンバンボードの概要をご確認ください。カンバンは継続的改善と進化的変化を促進するものであり、使いながらいつでも調整が可能です。