シンプルで説得力のあるプロジェクト計画を作成する方法
いつ何をすべきかを単に記したリストではない優れたプロジェクト計画
トピック一覧
プロジェクト計画とは何でしょうか? それは、プロジェクト マネージャーがプロジェクトの完了に必要なタスクとリソースの決定、優先順位付け、割り当てを行う、プロジェクト計画立案プロセスの成果です。プロジェクト計画には、チームのメンバー、必要なツールと資源、成功を達成するために必要なステップが示されます。
「プロジェクト計画」と聞くとほとんどの方が、ある種のスケジュール、つまりいつ何をすべきかを記した長いリストを思い描きます。けれども、これはほんの一部分にすぎません。
優れたプロジェクト マネージャーは、解決しようとしている問題からプロジェクトのスコープ、成果物、リスク、依存関係に至るまで、すべてを網羅した計画を作成して、プロジェクトを成功させるための道筋を詳細に策定します。
プロジェクト計画がないと、チーム メンバーはすべてのことがいつどのように行われるのかについて概要を把握できません。課題とニーズの森の中で迷子になり、どこから始めるべきかわからなくなることがよくあります。より悪い場合には、自分たちの仕事がどのように (またはいつ) 組み込まれるのかを完全に理解せずに、自分たちの役割だと思う作業を進めてしまいます。
プロジェクト計画の段階的な作成
それ自体が段階的なプロセスである計画を作成するために、段階的なプロセスに従うことは若干メタであるとの印象を受けるかもしれません。しかし、これが成功する堅牢な計画を作成するための鍵となります。
計画の策定を始める前に、チーム、組織、リソース、達成しようとしている内容に関して知っていることをすべて考慮します。計画を始めたらすぐに、チームと共通の理解を築くことが重要です。
ステップ 1: 計画をプロジェクトのマップとして考える
マップを描く際には、次の問いに対する答えを考えると役立ちます。
- 目標は何ですか? プロジェクトが完了したことを、どうやって知れますか?
- このマップに従うのは誰ですか?
- 目標達成までに通過するマイルストーンは何ですか? 各マイルストーンの間の距離はどのくらいですか?
- どのような障害に直面する可能性がありますか? 代わりの経路はありますか?
ステップ 2: 関係者を知る
プロジェクト管理プロセスに影響する可能性のある、組織政治、扱いの難しい人物、議論の焦点になる可能性のあることに関する面倒な事実を把握します。Software Technology Support Center のプロジェクト マネージャーで PMP である Larry W. Smith は、関係者分析を実施することの重要性を強調しています。Smith 氏によると、関係者全員がプロジェクトの成功を願っていても、たった 1 人の影響力を持つ関係者のニーズを満たすことを忘れれば、全員にとってプロジェクトが台無しになる可能性があります。
Smith 氏は、時間を取って次のことを行うように推奨しています。
- プロジェクトの関係者は誰かを明確にする
- 関係者が期待することと影響の度合いを理解する
- プロジェクトを進めながら、同僚と関係者からのフィードバックをどのように取り入れるかを決定する
- すべてのニーズと期待を、リスク計画とリスク対応アクティビティに関連付ける
- プロジェクトに関するコミュニケーション戦略すべてを入念に計画する
コミュニケーションについては、どれだけ強調してもしすぎることはありません。Atlassian の熟練したプロジェクト リーダーである Bernie Ferguson は、プロジェクトの最も初期の段階からでも関係者とのコミュニケーションを始めます。Ferguson 氏は次のように述べます。「私たちはプロジェクト ポスター手法を使用して、チーム メンバーと関係者の間に共通の理解を築いています。何に取り組むのか? 顧客とビジネスにとっての価値は何か? なぜこれが正しい解決策であると考えるのか? チームのロードマップを実際に進める前に、これらすべての質問への回答に対するフィードバックを収集します」
ステップ 3: 楽観的な考えを捨てて、タイムラインを詳細に策定する。
計画中にプロジェクト マネージャーが犯す最も一般的な間違いの 1 つは、楽観的に考えすぎることです。考えられる最高の状況を仮定するのではなく、発生する可能性のある問題と、それらがプロジェクト管理のタイムラインにどのように影響する可能性があるかを考えてください。必ず、基本的なデュー デリジェンスを実施してください。「事前分析」ワークショップを開くか、主要なプレイヤーと関係者との 1 対 1 のミーティングを実施します。
他のプロジェクト マネージャーに、同様のプロジェクトの計画にどのくらい時間がかかったかを聞いて、タイムラインの概略を作ります。共同で作業することが分かっているチームと会って、特定のタスクを実行するのにどの程度時間がかかるのかを把握します。プロジェクト管理ツールを使用している場合は、古いプロジェクト スケジュールのアーカイブを確認します。
それから、コミュニケーションを重ねます。すべての関係者に詳細を知らせます。なぜなら、自分なら知りたいと思いませんか? 簡略化されたガント チャートは、全員が簡単に理解できるようにタイムラインを視覚化するための一般的かつ効果的な方法です。

ステップ 4: 意見を聞く
プロジェクト マネージャーであるあなたには、プロジェクト計画を提示する (そして、最終的にはプロジェクトを実行する) 責任があります。しかしこれは、自分の席にこもって書き物をする作業ではありません。プロジェクト計画を策定する際には、主要な関係者全員を参加させることが絶対的に重要です。連絡はなるべく絶やさないようにしてください。素晴らしいリソースであることが分かるでしょう。
チームの意見に耳を傾けて一緒にアイデアについて考えることで、適時に賢明な結論に到達できます。この種のコラボレーションによって、より優れた計画を作成してプロジェクト全体に対する支持を集められます。
Atlassian では、テンプレートを使用して計画プロセスに伴うオーバーヘッドを削減し、プロジェクト計画のベスト プラクティスに不可欠なタイプの議論を促進しています。プロジェクト計画テンプレートは、関係者がそれまでに考慮していなかった可能性のあるプロジェクト管理の側面について考えるようにするための優れた方法です。
結局のところ、プロジェクトの良いエレベーター ピッチを作ることも大切ですが、堅牢な計画を策定することは大きく異なります。テンプレートを使用すると、これから行う内容について深く考えて取りこぼしがないようにすることが促されます。そして現実を認めます。依存関係やリスクについて考えるのは楽しいことではないので、強制的に行うような仕組みがない限り、計画においてこれらの要素は見て見ぬふりをされがちです。
ヒント: プロジェクト計画テンプレートは無料で、どなたでもご利用いただけます。メールアドレスを入力する必要すらありません。こちらで PDF を取得できます。

ステップ 5: 目標とスコープを考える
具体的に何を解決しようとしているのかを明確な言葉で記述した問題の説明を作成します。続けて、プロジェクトの結果として何が起こると考えられるかを示す仮説を立てます。次に、プロジェクトの背景の説明と、それを裏付けるデータまたはインサイトを示します。そして、成功を測定するために使用する指標を決定します。通常、計画の複数の領域に関するものになります。
自分自身とチーム メンバーに、絶対に必要なものと、あれば便利だが必要ではないものは何かを尋ねます。早い段階でプロジェクトのスコープ (スコープに含まれないものを含む) に合意することで、関係者間でのコミュニケーションが不十分になる可能性を低減します。一緒にプロジェクトに取り組む他の人々に、どの程度の作業時間を割り振ればよいのか把握します。これで、スコープの変更を簡単に認識できるようになります。
スコープからの逸脱は現実問題です。重要なのは、スコープ、タイムライン、リソースのバランスを取って、これらのどれも制御不能にならないようにすることです。
ステップ 6: 予期せぬ事態を予測 (して回避) する
すべてのプロジェクト計画には、予算、スケジュール、スコープに関する事実が含まれています。ただし優れた計画は、次のようなプロジェクトに関する重要な問いに対する答えも示します。
- リソース: どのような種類のスキルが必要で、誰がそのスキルを提供できますか? 予算はいくらですか?
- 意思決定: 提案をするのは誰で、最終的に決定を下すのは誰ですか?
- コミュニケーション: プロジェクトに関するメッセージを、誰が、いつ、どのような形式で受け取りますか?
- リスク: チーム メンバーは何に気を付ける必要があり、リスクを記録して追跡するためのプロセスはどのようなものになりますか?
- レビュー: プロジェクトをリリースする前に、どのようにフィードバックを収集しますか?
- 承認: 他にこのプロジェクトを承認する必要があるのは誰ですか? 最終的な意思決定者は誰ですか?
- タイミング: 作業スケジュールはプロジェクトのタイムラインに合っていますか? どのようにして締め切りを選びましたか?
計画で、これらの各課題の詳細を掘り下げる必要はありませんが、予期せぬ問題が多数生じることなく、プロジェクトを円滑に実施できるだけの情報は提供する必要があります。
ヒント: プロジェクトに関する確実な意思決定を適時に行うための DACI 手法を使用します。
ステップ 7: 任意のプロジェクト管理方法を選ぶ
プロジェクト マネージャーとしてあなたは、プロジェクト管理にウォーターフォール アプローチまたはアジャイル アプローチを選択できます。アジャイル アプローチは、小規模な反復タスクと、要件、計画、結果を継続的に評価するプロセスを利用して、迅速に結果を出します。この手法では、時間とリソースは固定であると見なされます。何かを割愛する必要がある場合は、プロジェクトのスコープが必要最小限にまで削減されます (少なくともそのイテレーションの間)。その後、望ましいスコープを加えるために、さらにイテレーションを追加できます。
ウォーターフォール アプローチは、より従来型の、(滝のように) 順番に実行される線形プロセスとなり、プロジェクトはステージごとチームごとに進められます。この場合は、スコープが固定されていると見なされて、タイミングとリソースは変更可能です。
ステップ 8: 計画を書いてレビューする
すべての質問に回答してすべての議論を行い、大量の付箋に書き込んだら、ついにプロジェクト計画の作成に着手します。選択する言葉、フォーマット、デザインのいずれも、シンプルなものにしてください。
どのようなフォーマットでも、あらゆる計画に含める必要がある有用な詳細を次に示します。
- プロジェクト名
- 実施日
- 予算
- 計画の目標
- 重要なマイルストーンと期待される測定可能な影響
- 各タスクの予定開始日と完了日
- 個別のタスクの所有者を強調するコールアウト
- 何が行われるべきかを明確に示す、タスクの詳細とメモ
- 遅延を防ぐための、互いに依存関係にあるリスクおよびタスク (またはチーム) のコールアウト
プロジェクト計画が完成すると、勝利の喜びに職場中を回ってその場の全員とハイタッチしたくなります。ただし、その前にまだすることがあります。計画の作成に関与していない誰かに、チェックを依頼してください。
ヒント: 各タスクのサイズを見積もる際には、細部にこだわりすぎないようにしてください。これらは情報に基づく推測であり、最終決定ではないことを忘れないでください。
ステップ 9: 計画を共有し、心の準備😉をする
プロジェクト計画が完成して、間違いがないかのチェックも完了しました。プロジェクトにともに取り組むメンバーと、情報を伝える必要がある関係者に計画を伝えるときです。それから、本当のお楽しみに向けて準備します。プロジェクト キックオフを皮切りに、実際の作業に移ります。変更や課題が生じますが、それらを管理できるように準備しておけばよいだけです。
何が起こっても、計画に従ってください。意図したスコープと合意したステップに集中して取り組んでいけば、プロジェクトを完成できます。