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プロジェクト管理フェーズの理解

「To Do」と「完了」を超えて

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プロジェクトのライフ サイクルは、立ち上げ、計画、実行、監視、クローズという、5 つのプロジェクト管理フェーズに分割されます。これらのフェーズは、チームで複雑なプロジェクトを成功させるためのロード マップとなります。

グラフを測る人形

ソフィアをご紹介します。ソフィアは勤務先の人事チームを率いて、従業員のオンボーディング プロセスの刷新という巨大なプロジェクトに取り組もうとしています。

ソフィアを含め、多くの方はプロジェクトを開始と完了という 2 つのフェーズで考えます。

これには改善の余地があります。ケーキ作りのことを考えてみてください。でたらめな材料の山から、見た目も味も上々の作品がいきなり出来上がるわけではありません。仕上がるまでには、買い物、準備、混ぜる作業、味見といった手順を踏みます。

プロジェクト管理フェーズは、開始から完了に至るまでのさまざまな手順を表します。それらを理解することは、より正確なプロジェクト計画を作成してより現実的なタイムラインを見積もり、戦略的かつ組織的な方法でプロジェクトを成功させるために役立ちます。

ソフィアのチームを例として使用して、典型的なプロジェクトのライフ サイクルとそれを構成するフェーズを見てみましょう。

プロジェクトのライフ サイクルとは?

「ライフ サイクル」と聞いて、高校の生物の授業を思い浮かべる方もあるかもしれませんが、実際にはかなり簡単な概念です。プロジェクトのライフ サイクルとは、プロジェクトが開始して完了するまでに移動する一連のステージです。フェーズを順番に移動して、アイデアの段階から成果物の完成までプロジェクトを進めます。

プロジェクトに無計画に取り組んで容易に達成できる成果に甘んじる代わりに、プロジェクト管理のライフ サイクルを理解することで、チームは次のことを実現できます。

  • 開始から終了まで、組織的かつ戦略的にプロジェクトを進めます。
  • プロジェクトの進捗状況とステータスを監視します。
  • 予期しない障害が少なくなってより正確に計画されることで、プロジェクトがより迅速に完了します。

これらのすべてのメリットを合わせることでそれらのメリットを最大限に活かし、チームがより迅速により多くのプロジェクトを成功させられます。

PMI (プロジェクト マネージメント協会) によると、10 億ドルの投資ごとに、プロジェクトのパフォーマンスが低いために 1 億 2,200 万ドルが無駄になっています。

プロジェクトのライフ サイクルを活用して、本来の目標を達成するプロジェクトに支出を集中

ここまでに、プロジェクトのライフ サイクルには多くの利点があることをご理解いただけたかと思います。では、プロジェクトはどのようなステージに沿って進める必要があるでしょうか?

PMBOK (プロジェクト マネージメント知識体系ガイド) では、プロジェクト管理のライフ サイクルを 5 つの異なるステージに分割しています。

  1. 立ち上げ
  2. 計画
  3. 実行
  4. 監視
  5. クローズ

概要を把握していただいたところで、詳細に移ります。

プロジェクト管理ライフ サイクルの 5 つのステップ

ステージが 5 つと聞いて、面倒に感じるでしょうか? 特に「開始」と「終了」の観点だけからプロジェクトを考えている場合はそうかもしれません。各フェーズは、プロジェクトを最良の結果に向けて推進するために、それぞれ異なる目的を持っています。

これらのフェーズには順序があります。プロジェクト管理ライフ サイクルのメリットを享受するためには、順番にこれらのフェーズを通過する必要があります。

フェーズ #1: プロジェクト立ち上げ

ソフィアのチームでは、強いニーズに基づいて、従業員のオンボーディング プロセスを刷新しようとしています。最初のステップは、計画とタイムラインを詳細に策定することでしょうか? それはもっと後に行います。

プロジェクトのライフ サイクルの最初のステップは、計画ではなく立ち上げです。

このステージでは、プロジェクトは実際に承認されておらず、進行していません。ソフィアのチームは、プロジェクトにそもそも実施する価値があるかどうかを判断することを目標として、広い視野で俯瞰的に検討しています。そのために、次のことを明らかにします。

  • プロジェクトのビジネス ケース
  • 実施するメリット (例: より広範囲のビジネスの目標にどのように貢献するか)
  • 主な成果物
  • どのようなことを成功と見なすか

これらの要素についてよく検討した結果、ソフィアとチーム メンバーは次のように判断しました。

  • ビジネス ケース: 会社は従業員の離職率に苦慮しています。ほとんどの従業員が入社後 12 か月以内に離職します。
  • メリット: オンボーディング プロセスを見直すことにより、入社後数か月間における分かりやすさ、コミュニケーション、意欲が向上して、長期にわたって従業員を維持できることが期待されます。
  • 成果物: 人事チームは、手順書を参照して管理できるようにすることと、従業員が入社後数週間に従業員向けのオンライン ダッシュボードで作業できるようにすることを求めています。
  • 成功の指標: 第 4 四半期末までに従業員の定着率が 15% 増加して、新入社員の 85% 以上から肯定的なフィードバック スコアが得られることです。

これらの要素はすべてプロジェクト ポスターに含め、ソフィアのチームがより広い視野で俯瞰的にプロジェクトを理解することが必要になったとき、いつでも参照できます。

チームでこれらのすべての要因の検討を終えたら、プロジェクトは実現可能で、実施する価値があるかどうかを問う必要があります。

答えがイエスなら、必要に応じてプロジェクトの承認を受けて次のフェーズに進みます。そうでない場合も、落胆は不要です。振り出しに戻って、プロジェクト ポスター テンプレートを使用するなどして、直面している問題を解決する別の方法があるかどうかを検討します。

フェーズ #2: プロジェクト計画立案

広いレベルでプロジェクトを定義したので、詳細に着手します。このフェーズでは、実際にプロジェクトを完了するための計画をチームで策定します。

すぐに実作業に入りたくても、計画ステージで手間を省かないことが重要です。効果的に計画することで、プロジェクトの失敗の主な原因、つまり、不適切なビジョンと目標、コミュニケーション不足、不正確な時間の見積もりなどの多くを回避できます。

また計画には、時間や地道な作業が必要になるため、プロジェクトの開始時点でそのための十分な時間を確保してください。

このフェーズで、ソフィアとそのチームは次のような問いに答えます。

  • このプロジェクトの目標は何か?
  • KPI (主要業績評価指標) は何か?
  • スコープは何か?
  • どれだけの予算か?
  • どのようなリスクがあるか?
  • どのチーム メンバーが関与するか?
  • どのようなタスクが関与するか?
  • どのようなマイルストーンを満たす必要があるか?

SMART ゴールのフレームワークを使用して、プロジェクトの目標を定義することから始めることが最善です。SMART は、具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、関連性 (Relevant)、期限が明確 (Time-bound) を表します。

SMART に従い、ソフィアとそのチームは、従業員のオンボーディング プロジェクトに対して次の目標を定義します。

新入社員の教育と意欲向上のために新入社員のオンボーディング プロセスを作成して、従業員の定着率を 15% 向上させます。この新しいプログラムは、2021 年 1 月 25 日までに開始します。

これでソフィアとそのチームは、目指すものを設定して共有しました。しかし、ただ願い望むだけでは目標は達成されません。チームは、実際にどのような作業を遂行する必要があるかを明らかにする必要があります。

WBS (作業分解構成図) を作成すると役立ちます。これにより、プロジェクト全体がタスクに分割されて図で示されるため、関係者の全員がプロジェクトのアクション項目を容易に確認できます。ソフィアとそのチームでは、次のタスクを特定しました。

  • 現在のオンボーディング プロセスに関する既存の従業員の調査とフィードバックの収集
  • プロセスに含めたいものに関するマネージャーへの聞き取り
  • 新しいオンボーディング プロセス/90 日計画の一般的なフローの作成
  • 詳細説明のために従業員ダッシュボードに含めるビデオ チュートリアルの録画
  • デジタル従業員ダッシュボードの構築
  • 新入社員支援のためのポータルの開始
  • オンボーディング プロセスの手順とチェックリストの草案作成
  • ダッシュボードへの動画やドキュメントのアップロード

チームでプロジェクトに何が必要かを把握すると、どれくらいの時間がかかってどのような物品が必要で、最初に何をすべきかを把握することが格段に簡単になります。

また、誰が主要なプロジェクト担当者か (この場合、人事チーム、Web 開発チーム、グラフィック デザイナー、コンテンツ チーム) や、タスクとリソースの依存関係も特定できます。これらの依存関係は、プロジェクトが持つ複数の側面が相互に関連することで発生します。

たとえば、タスクの依存関係として、従業員ダッシュボードが実際に用意される前には、資料をアップロードしようがないということなどです。つまり、タスクに前後関係があります。または、Web 開発チームは会社の Web サイト再設計が終了するまで、このプロジェクトに協力できない可能性があります。他のこととの兼ね合いにより、必要なリソースが随時提供可能とは限りません。

次に、これらの依存関係を念頭に置いてプロジェクトのタスクを適切な順序で並べ、個別の To Do リストの各ステップに締め切りを割り当てられます。

この作業を終えると、プロジェクト計画の策定は完了です。これを文書化して、チーム全体がアクセスできる場所 (Confluence が最適です) に保管する必要があります。

フェーズ #3: プロジェクト実行

このフェーズでは、労力のかかる作業が大量に発生します。

ソフィアのチームが、自らが特定したプロジェクト タスクを一歩一歩完了させるときが到来しました。手順の草案作成、ビデオの録画、聞き取りの実施などを行います。

また、これらのプロジェクトの To Do に従って作業を進めると同時に、次のフェーズにも従事します。

虫眼鏡

フェーズ #4: プロジェクト監視

ケーキ作りの例に戻りましょう。レシピに 1 回目を通して後は眺めていれば、世界一のケーキが出来上がってくるでしょうか? そんなことはありませんよね。

間違いがないように、都度レシピを確認しながら玉子を割って、タネを混ぜますね。オーブンを 5 分ごとに覗いては、焦げていないか確かめますね。大事なケーキから目を離すことはしないでしょう。

プロジェクトについてもまったく同じで、監視フェーズではそのようなことをします。これは実行フェーズと同時に発生します。ソフィアはプロジェクトを定期的に評価して、チームについて次のことを確認します。

  • タスクの締め切りを守っていること
  • スコープから逸脱していないこと
  • 予算を守っていること
  • 目標にコミットしていること (実行中はより広いビジョンを見失う。つまり、木を見て森を見ずという過ちを犯すことがあります)

監視を大幅に簡易化するには、プロジェクト管理ソフトウェアを使用します。ソフトウェアを使用するとプロジェクト全体の可視性が向上して、プロジェクト関連の会話や情報が一箇所にまとめられます。

さらに、定期的なステータス ミーティングは、チーム全体が進捗状況を把握するのに役立ちます。この毎週のミーティング議事録テンプレートを使用すると、それらの会話から、ディスカッションのトピック、決定事項、アクション項目を簡単に記録できます。

ソフィアは計画からの逸脱に気付いた場合、すぐに軌道修正するか、この新しい方向性を考慮して元のプロジェクト計画を調整できます。

フェーズ #5: プロジェクトのクローズ

チームはやり遂げました。新しい、改善された従業員オンボーディング プロセスが始動しました。成功を祝ってチームでランチを開催し、プロジェクトから完全に離脱する日を待つばかりという気分です。

ただし、このプロジェクトを成功とするには、その前に、このクローズ フェーズですべての未処理事項を片付ける必要があります。これには、次が含まれます。

  • 事後分析や振り返りを実施して、何がうまくいって何を改善可能かについて話し合います。
  • 最終プロジェクト レポートを作成して、必要に応じて関係者に提示します。
  • すべてのプロジェクト ドキュメントを安全な場所に保管して、後で容易にアクセスして参照できるようにします (やはり、Confluence でそのすべてを一箇所に整理して保管できます)。

ここまで頑張ってきましたので、それに値する有終の美を飾ってください。実際のプロジェクト タスクは終了していますが、クローズは、このプロジェクトを適切に終了して将来のプロジェクトの成功に備えるために重要です。

プロジェクト管理ソフトウェアの活用

プロジェクト管理ソフトウェアはなくても何とかなるとお考えですか? そうではありません。成功を促進してストレスを軽減したいなら、プロジェクト管理ソフトウェアは必須です。実際、高い成果を出しているプロジェクトの 77% は、プロジェクト管理ソフトウェアを使用しています。

このソフトウェアでプロジェクト管理のライフ サイクルを管理すると、次のような大きな利点があります。

  • チーム全体でライフ サイクルを追跡できるため、透明性と可視性が高まります。
  • 役割と責任が明確になることで、自分が何を期待されているかが全員に分かります。
  • 割り当て可能なタスクや所有者などを作成することによって、プロジェクト計画の実用性が高くなります。
  • 適切な情報の検索方法を全員が知っているため、正確性が高まります。
  • リアルタイムのアップデートにより、古い情報に基づいて作業する人がいなくなります。

果てしない電子メール スレッド、ランダムなドキュメント、煩雑なスプレッドシートを使用して、プロジェクトのライフ サイクルを管理しようとしないでください。Jira のようなプロジェクト管理ソフトウェアは、チームで戦略的かつ組織的にひらめきを形にするために役立ちます。

プロジェクトの成功を積み重ねる

プロジェクトは、A 地点から Z 地点まで一足飛びに移動するものではありません。プロジェクト管理は、プロジェクトのさまざまなステージの指針となり、戦略的に取り組む助けとなります。

順序に従ってフェーズを進めることで、ソフィアとそのチームと同様に、別のプロジェクトにも自信を持って取り組めるでしょう。ぜひお祝いをしてください。ケーキをお忘れなく。

プロジェクト管理の計画フェーズでは多くのことを考えて、労力のかかる作業を大量にこなします。当社のプロジェクト計画立案テンプレートを、簡素化にお役立てください。

以下も参照してください

プロジェクトポスターのテンプレート

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