スイムレーン図の概要と作成方法
部門横断型のプロジェクトを管理しているが、混乱の中でタスクを見落としてしまう。さまざまな部門から参加しているチーム メンバーは、誰が何を担当しているかを明確に認識しておらず、遅延や混乱が生じている。こうした状況に覚えがある場合は、スイムレーン図が必要になる可能性があります。
ワークフローを効率化し、説明責任を向上させ、部門の垣根を越えたコラボレーションを強化する効果的なスイムレーン図を作成する方法をご確認ください。プロジェクトの管理であれ、ビジネス プロセスの最適化であれ、あるいは手順の文書化であれ、これらのビジュアル ツールは混乱やボトルネックを解消するのに役立ちます。
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スイムレーン図を理解する
スイムレーン図は、水平レーンまたは垂直レーンを使用して複数の参加者のプロセスをマッピングします。各レーンは、特定のアクティビティを担当する特定のチーム、部門、またはシステムを表します。標準的なフローチャートとは異なり、スイムレーン図は誰が何をするのかを明確に示しており、説明責任を即座に視覚的に表示し、プロセスの所有権に関する混乱を解消します。
スイムレーン図では、アクティビティが常にそれぞれのレーン内で整理され、グループ間のハンドオフがすぐに視覚化されます。このワークフロー ダイアグラム アプローチは、さまざまな関係者間で生じるトランジションを目立たせることで、ボトルネックを解消します。
最終的に、スイムレーン図は抽象的なプロセスを、所有権が明確で具体的かつ実行可能なステップに変換します。フローチャートは何が起こるかを示しますが、スイムレーンは誰がそれを実行するのかを示します。この違いは、チームが非効率性、冗長性、およびコラボレーション改善の機会を特定するのに役立ちます。
スイムレーン図のコンポーネント
スイムレーン図は、部門横断型のプロセスを視覚化するために連携して機能する、3 つの重要なコンポーネントで構成されています。以下に紹介します。
- レーン: レーンは基盤を形成します。参加者ごとに専用スペースを割り当て、責任の境界を明確にします。
- タスク: タスクはレーン内に図形で表示され、プロセス ライフサイクル中の各所有者のアクティビティを具体的に表します。
- 接続矢印: 接続矢印によって作業の方向性を示し、さまざまな参加者間での成果物の流れを明らかにすることで全体像が完成します。
上記の要素でプロセス フロー チャートが構成され、一連の手順と各タスクの担当者が表示されます。組織の境界を越えて複雑なワークフローを追跡する場合に、この視覚化が特に役立ちます。
レーンによって担当者を明らかにし、タスクによって作業を定義し、調整が不可欠となるハンドオフをコネクタによって示します。これらの要素を組み合わせて、抽象的なプロセスを、誰もが理解できる明確かつ実行可能な形で視覚化します。
スイムレーン図を使用するタイミング
スイムレーン図は、複数のグループ間での調整が必要となる、次のような状況で役立ちます。
- プロジェクト管理: プロジェクト管理チームはスイムレーン図を使用して、責任を明確化し、部門間を移動する成果物を追跡します。
- カスタマー サービス: 問い合わせが最初の連絡から解決まで、どのように進んでいくかをスイムレーン図で示すことで、応答ワークフローを改善します。
- ソフトウェア開発: スイムレーン図により、ソフトウェア開発の段階にわたってユーザー ストーリーを計画できるため、アジャイル スプリントやプロジェクトでのコラボレーションに役立ちます。
- プロセス マッピング: 多くの組織では、文書化業務でスイムレーン図を使用して、ワークフローを標準化し、効率を高めています。
- 製造: スイムレーン図を使うと、複数の設備や施設にわたる生産ワークフローを視覚化できるため、運用がより明確になります。
- ブレーンストーミングとプロセス改善: スイムレーン図を作成すると、既存のプロセスのボトルネックを特定し、より効率的なワークフローを設計できます。
- 従業員のオンボーディング: スイムレーン図により、新入社員が大規模な組織構造での自分の役割を理解できるようになります。
- 説明責任とハンドオフ: スイムレーン図を明確に作成することで、「担当者と作業内容」を定義し、チームにおけるトランジションを合理化して遅延や混乱を減らすことができます。
スイムレーン図を使用するメリット
スイムレーン図は、プロセスの明確さや効率性を求めるチームに大きなメリットをもたらし、意思決定プロセスを強化できるようサポートします。次のようなメリットがあります。
- 責任の割り当てが明確: プロセスの各ステップの担当者を視覚的に定義して、特定のタスクの担当者に関する混乱を解消します。
- ハンドオフの可視性が向上: チーム間で作業が移動する箇所を即座に特定し、重要なトランジション ポイントでの遅延や伝達ミスを減らします。
- ボトルネックの特定: プロセスが減速、または行き詰まっている箇所をすばやく特定できます。多くの場合、1 つのレーンで過負荷になっていることが判明します。
- 冗長性の排除: 複数のチームが同様のタスクを不必要に行っている場合に、重複している作業が明らかになります。
- 部門横断型の連携: チームが行っている作業が他のチームにどのような影響を与えるかを理解できるようにし、コラボレーションの向上や連携を促進します。
- オンボーディングの強化: 新しいチーム メンバーに視覚的なコンテキストを提供し、大規模なプロセスでの自分の役割を理解できるようにします。
スイムレーン図の作成方法
効果的なスイムレーン図を作成するには、責任を定義し、ワークフローを計画し、プロセスを改善するための体系的なアプローチが必要です。
タスクを計画するだけでなく、正確さも重要です。図を適切に構成すると、混乱がなくなり、各関係者が自分の役割を理解できるようになります。
目標を定義する
スイムレーン図でどのようなプロセスを記録するのかを明確化することから始めましょう。計画しているのは、顧客のオンボーディング ワークフロー、ソフトウェア開発サイクル、または製造プロセスですか? この視覚化によって達成する必要のある具体的なゴールを特定します。たとえば、ボトルネックの発見、ハンドオフの明確化や、承認の合理化です。
目的をより正確に定義すれば、より的を絞った価値のある図になります。理論的な手順ではなく、実際のプロセス実行者と話し合い、実際のワークフローを把握します。こうした基盤によって図の境界を明確にし、作成時のスコープ クリープを防ぐことができます。
スイムレーンを特定する
専用のレーンを必要とするメンバーや対象を決めて、図に記入します。これらは通常、部門 (マーケティング、営業、財務)、特定の役割 (顧客、マネージャー、開発者)、またはシステム (CRM、支払い処理者、製造) を表します。各レーンは、プロセス全体の中で異なる責任を負う必要があります。
わかりやすくするために、レーンの数は扱いやすい数に保ちます (通常、3 から 7)。レーンが多すぎると視覚的に乱雑になり、混乱をきたします。適切な場合は関連する役割をグループ化し、各レーンにラベルを付けて、閲覧者がワークフローのアクティビティの担当者をすぐに把握できるようにします。
手順を綿密に計画する
プロセスのステップすべてを時系列で一覧表示し、各ステップを適切なスイムレーン内に配置します。主要なマイルストーンで始めてから、詳細を追加します。一貫した図形を使用して、さまざまなアクション タイプを表現します。タスクを表すには長方形、決定にはひし形、始点/終点には円を利用することを検討しましょう。
説明は、簡潔で明確なものにします。複数のレーンで同時に発生するタスクを縦に並べて、並行アクティビティを視覚的に表すことができます。
ステップを矢印でつなげる
さまざまなスイムレーンでの動向など、タスク間の作業の流れを矢印で描きます。通常のワークフローには実線を、条件付きパスや例外には破線を使います。トランジションに重要な条件やトリガーがある場合は、矢印に簡単な注釈を追加します。
レーンを横断する矢印には特に留意しましょう。これらは重要なハンドオフを表しており、伝達ミスが頻繁に起こります。矢印を論理的な方向 (通常は左から右、または上から下) へ向けて、図を直感的に把握できるようにします。すべてのタスクは、ステップが孤立することなく、後続のアクティビティに論理的につながっている必要があります。
図をレビューして改良する
最後に、スイムレーン図を実際のプロセス実行者と検証します。図を参考にして、一般的なシナリオを辿ってもらいます。わかりにくい箇所、抜けているステップ、または不正確なワークフローなどをメモしておきます。過度に複雑なセクションを簡略化し、詳細が必要な領域を拡大します。
タスクをタイプ・優先度・期間ごとに色分けし、図を乱雑にすることなく情報を追加することを検討しましょう。特に、冗長なアクティビティ、不必要なハンドオフ、明確な基準のない判断ポイントを探します。図を改良して、プロセスの理解が深まるよう正確に表現できるようにします。
スイムレーン図の例
スイムレーン図の良い例として、カスタマー サポート チケットの解決プロセスが挙げられます。この例では、図に顧客、サポート エージェント、技術チーム、品質保証という 4 つのレーンが表示されます。顧客がチケットを送信する時点から始まり、部門間のワークフロー全体を追跡できます。
このスイムレーン図の例を見ると、レーン間で責任が明確に移動していることがわかります。サポート エージェントが最初にチケットを確認し、単純な課題であれば直接解決し、複雑な課題であれば技術チームにエスカレートします。この図では、課題の複雑さ、必要な承認、顧客のフィードバックに基づいてワークフローが分岐する判断ポイントが示されています。
この視覚的表現によって、技術チームへのハンドオフや品質保証のレビューなど、潜在的なボトルネックが即座に明らかになります。顧客レーンは、顧客の意見がプロセスに影響するポイントをリアルタイムに示し、外部の依存関係に関する説明責任を果たせるようにします。このような視覚的な明確さにより、チームはワークフローを最適化し、解決期間に関する顧客の適切な期待事項を設定できます。
Confluence ホワイトボードでスイムレーン図を作成する
Confluence ホワイトボードは、コラボレーティブなスイムレーン図を開発するための理想的なプラットフォームです。リアルタイム編集機能を使えば、チーム メンバーは場所に関係なく、同時に投稿できます。オンライン ホワイトボードにより、特に分散型チームは、このプロセスを大幅に簡素化できます。

Confluence の直感的なドラッグアンドドロップ インターフェイスにより、技術的な図作成の経験がないチーム メンバーでも、レーンの調整、プロセスのステップの追加、ワークフローの連携を簡単に行えます。プロセスが進むにつれて、図も進化していきます。イテレーションを毎回ゼロから始める必要はありません。技術的な専門知識に関係なく、Confluence ホワイトボードで図を作成できるため、チーム全体でプロセスを視覚化できます。
Confluence では、基本的な図作成以外にも、図の特定の要素に直接ドキュメントをリンクし、ファイルを添付し、コメントを追加できます。これにより、視覚的なプロセスと補足資料を結び付ける包括的なリソースを作成できます。
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