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夢を (拡張) 現実に: IKEA Place アプリの作成に見る、PTC による Trello の活用例


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IKEA Place: 革新的なアイデアを現実に

誰もが経験したことがあるはずです。美しい Karlstad や Ektorp (IKEA 用語で言う「ソファー」) の前にたたずみ、これを我が家に持ち帰って Netflix や六角レンチと一緒に夜を過ごそうと心に決めます。でもここで、新品の居心地良いソファーとあなたの間に、小さな疑問が立ちはだかります。「部屋に合うだろうか?」

まさにこれが、PTC Company (PTC とも呼ばれる) の TWNKLS の AR が IKEA を助けるべく取り組み始めた究極の課題です。2018 年に PTC は自身のデジタル トランスフォーメーション組織を IKEA 主催のイノベーション フェアに参加させ、3D ビジュアル化アプリ IKEA Place のアイデアを IKEA に売り込みました。拡張現実 (AR) を使用して「製品の縮尺どおりの 3D モデルを自分の部屋に仮想的に置く」ことのできるアプリです。買い物客はこのアプリを使って、検討中の家具を購入前に仮想的に試したり、カメラを自分の部屋に向けて部屋のどのスペースに合うかどうかを探したりできます。

PTC の独創的なアイデアは、まさに IKEA と顧客が求めていたものでした。巨大小売店 IKEA はイノベーション フェアの勝者を PTC に決定し、AR アプリを現実にするためのパートナーシップ計画を始めました。

9 週間でブース 1 からバージョン 1 へ

これ以上に良いタイミングはありませんでした。Apple がわずか 9 週間後に ARKit を世界中の開発者向けに発表することになっていました。厳しいスケジュールでしたが、PTC は、ARKit の登場に合わせて Place アプリの最初のバージョンを世に出す大きなチャンスだと捉えていました。うまくいけば Apple の関心を惹き、AR の大きな波に乗れるかもしれません。

PTC はすぐにチームを立ち上げ、すぐそこに迫る期限に間に合うようにプロジェクト計画を作成しました。開発マネージャーの Jefferson Scomacao 氏とプロジェクト マネージャーの Andy Barker 氏がチームを先導して、プロジェクトと課題のトラッキングに Jira Software を使用しながら、アイデア出しと制作を猛スピードで進めました。朝から晩まで働き続けて 2 か月後、チームは IKEA Place のバージョン 1 を Apple ARKit と同じタイミングでリースしました。わずか数日の間にアプリは何百、何千回とダウンロードされ、Apple CEO のティム・クック氏の目にも留まりました。アプリを試したクック氏は、「未来のショッピング」だと言ったそうです。

大好評を得ながらも、PTC と IKEA にはさらなる考えがありました。これに満足することなく、いったん成功を祝って一息つくとすぐに研究所に戻り、Place アプリを次のレベルへと押し上げるために動き始めました。

Trello がチーム間の架け橋に

今後に向けたロードマップを敷く過程で、次のバージョンを構築するには、PTC、IKEA、そして別の戦略パートナーから複数のチームを編成する必要があると、PTC は気付きました。チームの所在地もテクノロジーへの精通度も、業務管理に使用するソフトウェアもすべてばらばらでした。

誰もがコラボレーションを楽しみにしてはいましたが、このプロジェクトのために新しいシステムを設定して使い方を学ぶとなると気乗りはしませんでした。そうできる時間も、ありませんでした。Andy 氏はこう話しています。「社内外にあまりに大勢のパートナーがいるので、自分たちのシステムを誰もオープンにしたくありませんし、オープンにする技術もなかったのです。でも、コラボレーションしてすぐに作業を始める必要がありました」

そこで Jefferson 氏が提案した解決策が、Trello でした。前の仕事で使ったことがあったため、Trello でチームを作り、直観的に操作できるボードを設定し、権限を管理しつつ社外のパートナーと一瞬で共有することがいかに簡単かを知っていたのです。これは (使用経験のない人も含め) 誰にとっても手早くシンプルな解決策であり、PTC 内のアトラシアンのエコシステム全体を統合することもできる名案だと、Jefferson 氏には自信がありました。

全体的な能率化でパフォーマンスが 125% 向上

IKEA と PTC のパートナーが Trello に参加したため、Jefferson 氏と Andy 氏は、ロードマッピング、タスクのトラッキング、品質保証 (QA) テストのワークフローごとにボードの設定を始めました。

Trello を使用した QA 管理で、パフォーマンス (課題の解決率で測定) が 125% 向上しました。

「製品ロードマップ」ボードには、Place アプリの今後の計画のバックログを保管し、進行中の作業と完了した作業の大まかな概要を表示しました。Jefferson によると、Trello のおかげで、ロードマップに記録されて「新規」から「完了」になるまでをトラッキングした項目数が、20 ~ 40% 増加したとのことです。また新規リクエストに対しては、チームが集中して手際よく対応できるようになりました。「IKEA に新しい機能について聞かれたとき、ロードマップに載っているかどうか、予定はいつになっているかをすぐに伝えられました。気が逸れずにすむので、自分が何に集中すべきかがわかりやすかったです」

機能とバグがバックログからスプリントへと移されると、PTC の IKEA プロジェクト チームは「現在の課題」ボードで対応中のタスクを追跡します。こうしたタスクの管理には複数のチームが関与するため、チームごとに To Do リストが用意されています。これにより、全員が各自のタスクに集中しながらも、他チームと作業がどのように重なるのかを把握できました。プロジェクト マネージャーとリーダーにとっても、進捗管理と報告作業にこのボードが欠かせませんでした。

Trello での QA 管理が「苦境を救った」と Jefferson 氏は言います。「IKEA Place バージョン 1 の開発中、QA は大きなストレス源でした。30 もの QA パートナーがスプレッドシートと Word のドキュメントで作業をトラッキングしていたのです。そのため、開発者がバグをトラッキングして Jira Software に組み込むのが重労働となったうえ、リーダーが問題、解決策、リグレッションを把握するのはほぼ不可能でした。

QA 管理に Trello を使ったことで、こうした課題がすべて解決しただけでなく、さらなるメリットもありました。QA の専門メンバーが新しいセッションを作成しやすく、またリーダーが求めるものを理解しやすくなったのです。マネージャーも QA データを追跡しやすくなり、十分な情報に基づいた判断や、必要に応じて別のシステムへの情報の転送もできるようになりました。結果、課題の合計数は 85% 減少し、パフォーマンス (課題の解決率で測定) は 125% 向上しました。

PTC の IKEA プロジェクト チームはさらに、Power-Up を使用して Trello をカスタマイズしました。既存のワークフローに合わせて、コラボレーションと開発用の他の重要なシステムと連携させました。たとえば、バージョン、バグの種類、担当者をトラッキングするためにカスタム フィールドを追加しました。Power-Up の統合を使用すると、Trello と Google Drive、Slack、Giphy、Blue Jeans、OneDrive との情報の受け渡しも可能になります。

この堅牢な統合システムの導入は、PTC の IKEA プロジェクト チームにとって大きな転換点となりました。開発チーム全体が以前よりも迅速かつ簡単にコラボレーションできるようになり、また、各コラボレーターは重要な情報を把握できるため、インシデントを繰り返さないようにしたり、情報に基づいた判断をしたり、ナレッジを共有したりできるようになりました。

世界規模のチームがより効率的に連携する新たな手段

IKEA Place バージョン 2 の開発では、プロジェクトに新しいパートナーが加わり、メンバーがいっそう世界に点在する状況になったため、新たな課題が現れました。リモートでのコラボレーションです。時差、言語や文化の差を抱えながらも、連携を取り続け、良質なアウトプットを出し続けることに Jefferson 氏と Andy 氏は難しさを感じていました。

Trello を使って方法、要件、手順を明確にしました。文化も言語も大きく異なるチーム メイトとコミュニケーションをとる際に、これは本当に役立ちました

Jefferson Scomacao

開発マネージャー

Jefferson 氏はこのように述べています。「世界中に散らばったチームはメールや電話、Skype を使ってコミュニケーションをとっていて、情報を整理したり、意思決定を万人にわかる形で記録したりしてはいませんでした。そこで、Trello を使って方法、要件、手順を明確にしました。文化も言語も大きく異なるチームとコミュニケーションをとる際に、これは本当に役立ちました」

Andy 氏はこう付け加えます。「Trello を使ったおかげで、相手に単刀直入に伝えることを学び、言語の壁を乗り越える助けとなりました。今はタスクにテキストやファイルを過剰に足さないことで、本当に伝えたい内容を互いに理解し合えています」

コミュニケーションの円滑化に加えて、世界に分散した各チームの問題の解決といったパフォーマンスのトラッキングも Trello により容易になったと、Jefferson 氏は述べています。「リモート チームの尽力ぶりを測れるようになり、業務の改善を実感できるようになりました」。こうした改善があったからこそ、PTC の IKEA プロジェクト チームは、スピード感を維持しながらアプリをリリースごとに拡張し、質を高められたのです。

ショッピングの未来

コミュニケーションとコラボレーションをひとつの場所で簡素化したことで、PTC とパートナーは Place 立ち上げ以降の数か月間で、いくつものアップデートと新規リリースをスムーズにこなせました。リリースごとに、さらなる注目と称賛を浴びています。

最初のリリース以来、IKEA Place は 400 万回以上ダウンロードされ、10 万件を超えるレビューを得ています。App Store での平均評価はほぼ星 5 つです。アプリは現時点で 18 個の賞を獲り、その中には 2018 年の Auggie Award (Augmented Reality World Expo) の Best Consumer App 賞や、Creative Circle Award の Best Use of Technology 賞も含まれています。iOS のゲーム以外の AR アプリとして世界 1 位に輝いたこともあります (今も維持しています)。

Jefferson 氏と Andy 氏は Trello の透明性、使いやすさ、柔軟性により、チームがこの見事な成果を収め、社内プロセスを改革できた点を評価しています。

「シンプルなボード数点と Power-Up だけで、私たちはコラボレーションを進められ、非常に革新的なものを創れました」と、Jefferson 氏は述べています。「Trello は私たちのプロセスと日常生活を大きく向上させてくれました。摩擦が生じにくいので、開発にしっかりと集中できたのです。マネジメントの面から見ても、今何が起きているかをとても簡単に把握できました。Trello を導入して良かったと心から思っています」

Andy 氏はこう付け加えます。「Trello のおかげでコミュニケーションの壁を壊し、社内外の組織とのコラボレーションを円滑に進められました。今回の成功を可能にしたのは、透明性が十分に確保されていたからです」

シンプルなボード数点と Power-Up だけで、私たちはコラボレーションを進め、非常に革新的なものを創れました

Jefferson Scomacao

開発マネージャー

Trello をアトラシアンのエコシステムの要として、PTC の IKEA プロジェクト チームは、チームとリーダーの働き方を一変させ、IKEA の顧客と小売業界に未来のショッピングのあり方を紹介したのです。

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