Bitbucket Cloudに「Workspace」を導入

アトラシアンは、ソフトウェア開発チームが共同でコーディングを行うための最適な場所を提供すべく、Bitbucketを進化させてきました。その結果、これまでにBitbucket Cloudに登録したユーザーは1200万人、そしてチームは200万件を超えました。今後、このユーザー数が増加し続けるのに伴い、製品がスケールできるよう準備を進めることが、Bitbucketの開発チームにとって重要課題となっています。

一方、業界ではプロジェクトの進め方が変化しています。モダンなクラウドサービスの構築においては、開発チームは単一のリポジトリで共同作業するのではなく、複数のライブラリやマイクロサービス、フロントエンドのWebアプリといった、多くのリポジトリを利用するようになっています。この新しい手法では、組織全体で取り組む開発の確認・管理をまとめる方法が必要です。

2018年に実施された調査によると、マイクロサービスの手法を実施あるいは実施予定している開発者の約半数が、この新手法に伴う主な課題として、サービスをまたがったビジネスプロセスを把握できないこと、そしてチーム間のコミュニケーション不足を挙げました。今後より多くの組織が新しい手法にシフトするにつれ、チームそしてチームメンバー間の壁を取り払い、誰が・何に・なぜ・いつ取り組んでいるのかを容易に確認できる環境を整える必要があります。

こうした背景から、アトラシアンはBitbucketに新しいコラボレーションのモデルとなる「Workspace」を導入しました。これは、組織全体で共同作業するための、統一的なユーザーエクスペリエンスを提供します。すでにWorkspaceにお気付きで活用されている方もいらっしゃるかもしれませんが、まだ確認されていないユーザーの方に向け、この記事ではWorkspaceのご紹介とメリット、これまでとの変更点についてまとめます。

Workspaceとそのメリットとは

今回、これまであった「User」および「Team」というアカウントモデルを「Workspace」にまとめましました。Workspaceには、すべてのリポジトリやユーザー、そしてグループが格納されます。

これまでのBitbucketでは、管理者はBitbucketで作業を始めるにあたり、ユーザーレベルのアカウントで構築するか、チームレベルのアカウントで構築するか、選択する必要がありました。アカウントタイプを後から変更するのは(不可能ではないものの)手間がかかるため、管理者は正しい選択をするために、これら2つの違いを把握し、現在のチームのサイズと今後の成長を検討しなければなりません。新しいWorkspaceなら、全員が「Workspace」という1つのアカウントタイプを使用し、個人の作業も共同作業もサポートされます。

また、従来のBitbucketでは、メンバーは個別に追加され、リポジトリを選択するので、各チームメンバーがどんな作業をしているか見えづらいという課題もありました。新しいモデルでは、全員が同じWorkspaceのメンバーとなるため、各個人の作業も見えやすく、組織全体のプロジェクトも把握できるようになりました。

Workspaceは柔軟性も高く、チームの成長に伴って数千ユーザーまで規模を拡大することも、1ユーザーで使用し続けることもできます。メンバーの追加や、リポジトリでの共同作業や監視、アクセスの制限、そしてサードパーティ製アプリの管理がより簡単に行えるようになります。管理者は、明確なフレームワークを設定するための可視性を得られる一方、ユーザーは自律的に作業を進め、質の高いコードをより早く出荷できます。

何が変わったのか

この新しいWorkspaceのモデルを確立するために、段階的に変更を公開してきました。

第一段階の変更は、既存のリポジトリやユーザー、プルリクエストを始めとする日々の作業に影響はありません。価格の計算方法にも変更はなく、プランの種類とプライベートリポジトリにアクセスするユーザー数に基づいて価格が決まります

また、Userアカウントに下記機能を追加し、TeamアカウントがWorkspaceに変わりました。

  • 複数管理者の追加
  • リポジトリを保管するためのプロジェクトの作成(これまではリポジトリは所有者に紐づいており、グループ化や整理することができませんでした)

これに伴い、設定画面と管理者画面も新しいモデルに合うよう、アップデートされました。

  • 設定: ユーザーに特化した項目とリポジトリに関するものを明確に分け、WorkspaceとPersonalの設定は別になりました
  • メンバー: Workspace内のリポジトリにアクセスできるユーザーが、Workspaceの「メンバー」となります。新しくなったメンバーのビューで、すべてユーザーあるいはリポジトリにアクセスのある「メンバー」を確認できます
  • Workspaceリスト: Workspaceリストのビューで、権限に関わらず、所属しているすべてのWorkspaceを簡単に確認できます

今後の予定

ここまでWorkspace導入の背景とメリット、そして現状の変更点について説明しましたが、ここでは今後予定されている改善点をご紹介します。

  • 数多くのリポジトリのセットをより管理しやすくすることで、チーム拡大に対応するインフラストラクチャを提供し、マイクロサービスアプリケーションの開発といった新しいテクノロジーを簡単に導入できるようになります
  • グループやプロジェクトといったベースとなるモデルをなくすことで、他のアトラシアン製品との密な統合を実現します
  • アトラシアンのクラウド製品の管理を一元化する「管理ハブ」に、Bitbucketも対応させることで、管理者はすべてのアトラシアン製品のユーザーを一か所で管理できるようになります

これらの変更により、今後、Bitbucketとその他のアトラシアン製品の間のより柔軟で強固な管理コントロールが実現されます。さらなるアップデートにご期待ください。

なお、Workspaceに関する詳細やご質問については、Atlassian Communityのスレッド(英語)をご覧いただくか、サポート窓口までお問い合わせください。