クラウド製品に機械学習を活用した「Atlassian Smarts」を導入

協業相手を素早く特定し、繰り返しの作業を減らすことで、チームの生産性を向上

本ブログは、こちらに掲載されている英文ブログの抄訳です。万が一内容に相違がある場合は、原文が優先されます。

Shihab Hamid
Head of Product, Teamwork Platform

チームが完全に離れていると、プロジェクトを進めるために適切な資料や関係する同僚を見つけ出すのが困難になることがあります。さらに、冗長なタスクや煩雑なコミュニケーションが生産性を低下させます。大多数のナレッジ・ワーカーが一夜にしてリモートワークへの転換を余儀なくされた本年、このようなコラボレーションにおける課題を解決するテクノロジーの力への注目が過去になく高まっています。

アトラシアンは、コラボレーションを通してチームの可能性を最大限に解き放つことをミッションとしています。ここ数年の間、自社製品間の連携を強め、コラボレーションをより速く、予測可能で安全なものとするための共通クラウド基盤である Atlassian Platform の構築を続けてまいりました。Atlassian Platform を通して、弊社のクラウド製品をお使いの 150,000 社以上のお客様の利用パターンから、人々はどのように作業を行い、チームはどのようにやり取りしているかを大規模に分析することができます。

私たちは、よりチームの生産性を高めるためにこれらのデータと機械学習を活用し、アトラシアン製品に予測を採用したスマートな体験を構築しました。Atlassian Plartform 上に構築された「Smarts(スマート)」は、チームのタスク達成とコラボレーションを加速させる、データドリブンなアルゴリズムと機械学習テクニックによるアプリケーションで、通常は目に留まるものではありません。

そして本日、より強力でシームレスなコラボレーション体験を実現するスマート機能が、アトラシアンクラウド製品で正式に使用可能となったことを発表いたします。新機能には、Confluence Cloud、Jira Software Cloud および Jira Service Desk Cloud に実装されたスマート・サーチ(Smart search) や Bitbucket に実装されたプルリクエスト予測が含まれます。これらの機能は、ここ数ヶ月の間に試験的にお客様に展開されてきましたが、毎日多くのスマート予測機能を提供することでチームワークの簡略化を支援するため、その規模を拡大しました。そしてまもなく、Smarts を活用して Jira Service Desk で類似のチケットをグループ化できるようになり、IT 部門の効率性を向上します。

以下にスマートが実現する体験の詳細について紹介いたします。

製品を横断した検索予測で関連する情報をより速く見つける

リモートワークへの移行によって、私たちは同僚に気軽に声をかける機会を失い、適切な文書を見つけ出すのに以前よりも時間がかかるようになっています。そこで必要なものをより速く見つけることができるよう、機械学習を活用してクラウドの Confluence と Jira における検索性を向上しました。

例えば、別のチームの同僚とあなたが「ロードマップ」を検索する場合、同じ単語を入力していても、それぞれ異なるものを探している可能性が多分にあります。スマート・サーチ (Smart search) は、ユーザーが最近行った作業を特定し、最も関連性の高いドキュメントを提示することで、パーソナライズされた検索体験を提供します。

また、スマート・サーチの結果を待つ間、検索対象を予測して即時の検索結果を表示するように最適化することで、検索を次のレベルに引き上げました。

さらに、Jira Software と Confluence に、作業に貢献している人や作業しているスペースに応じて、検索対象を絞り込むフィルターを予測するインテリジェント・フィルター・コントロール (Intelligent filter controls) を追加しました。実際に、提示されたフィルターの中から選択して活用するケースは、フィルターを利用する機会の89%にもおよぶことが分かりました。

しかし、何かを探す手法は検索だけではありません。作業したConfluenceドキュメントや他のアトラシアン製品などを集約し、パーソナライズしたビューを提供する start.atlassian.com にも Smarts を活用しました。今日 Start 全体で発生しているクリックのうち、25%が Smartsより提示されたレコメンデーションのクリックとなっています。

仕事を進めるのに適切な人を巻き込んでコラボレーションを促進

コラボレーションとは、プロジェクトの前進や完了のために、適切なタイミングで適切な人を巻き込むことが全てだと言っても過言ではありません。これは10人程度の小さなグループであればさほど難しいことでは無い様に思えますが、組織が拡大するに連れ、この簡単に見えたことが瞬く間に思い通りにいかない体験となります。突如適切な人を見つけるのが困難となり、1日がかりとなってしまうこともあるかも知れません。

Jira と Confluence に搭載されたユーザーメンション予測 (predictive user mentions) では、日頃一緒に作業をする人や今作業している内容などを把握し、プロジェクトに巻き込む候補者のリストを Smarts が提示します。

さらにSmartsを高度なものとするため、ユーザーピッカー予測 (predictive user pickers) を開発しました。ユーザーピッカー予測は、1文字も入力することなく、製品横断的に異なるシナリオにおいて、コラボレーションの可能性があるチームメートを提案します。

製品横断的に文脈に沿った提案をどのように行っているのか、下記にその例を示します:

  • Jira の課題アサイン:プロジェクトでアクティブな人や、似た様な課題を担当している人を把握しているため、過去の行動パターンから学習し、担当としてアサインされる可能性のあるトップ5名を、86%の精度で予測することが可能です。
  • Confluence におけるページ制限:Smarts は、日頃コラボレーションしている人や日常的におこなっている作業を元に、ページの閲覧を制限したいユーザーを予測することができます。
  • Bitbucket におけるプルリクエストレビューアー:リポジトリで作業している人や、似た様なプルリクエストに呼び込まれたことのある人を把握し、該当のプルリクエストに最適なレビューアーを予測します。

トリアージを迅速化して課題を素早く解決

IT 部門で働いている場合、共通する問題に対処するために、サービスデスクのチケットを調べることに多くの時間を費やしているのではないでしょうか。そこで私たちは、課題のトリアージを加速させ、問題の整理よりも解決に時間をかけられるようにするため、Jira に Smarts を適用しました。

日々多くのサービスデスクチケットに対処しなければならない場合、類似のチケットを一括でトリアージできれば、非常に時間の節約になります。そのため、近いうちに Jira Service Desk において類似のチケットをグループ化できる新機能をリリースする予定です。

同じ自然言語処理を用いて、Jira Software で類似のバグ報告や機能リクエストをグループ化したり、インシデントを Jira Service Desk のチケットにリンクし、Confluence で関連するナレッジベース記事を表示するなどが可能です。

過去のデータから学習し、Jira Software および Jira Service Desk における多くのフィールドをインテリジェント化しました。コンポーネントやラベル、課題のバージョン等を入力する際、フィールド予測によって最も関連する内容が提示されます。

下記のような課題フィールドに対して、精度高く上位5件の提案を予測することができます:

  • コンポーネント予測 (Predictive components):精度 79%
  • ラベル予測 (Predictive labels): 精度 75%
  • バージョン予測 (Predictive versions): 精度75%

スマートな前進を

これらは、アトラシアンの製品やプラットフォームに Smarts を組み込む取り組みの始まりに過ぎません。私たちは、チームが最も重要なミッションに集中できるよう、反復作業を軽減する方法を常に探しています。そして私たちは、最高のチームの働き方から学び、市場で最も賢いワークコラボレーションプラットフォームを構築しているのです。