大きく変わったITIL 4とアトラシアン流 ITSM

デジタルトランスフォーメーションの時代を迎えた今、IT部門の役割が組織内のサポート役から、ビジネスを差別化する主役へと大きく変わりつつあります。こうした変化を背景に、ITサービスマネジメント(ITSM)のフレームワークとして広く利用されている「ITIL」が今年、大幅にアップデートされました。

そもそもITSMとは…

ITSMとは、IT部門が顧客(ユーザー)へITサービスをエンドツーエンドで提供する方法を管理することです。ここで「ITサービス」となっているのは、ITSMの核となるコンセプトに、"ITは「サービス」として提供されるべきである"という考えがあるためです。従来のIT部門の役割は、組織内で必要なシステムの開発や運用がメインでしたが、IT技術がビジネスの核となる今、IT部門はビジネスを理解し、組織の発展に貢献するITサービスの提供が求められています。よってITSMには、組織が必要とするITサービスの安定的な提供と、継続的な改善までもが含まれます。

ITSMの導入により、ITサービス提供についての体系化されたアプローチができることで、予算やリソースを元に標準化されたサービスを安定して提供することができます。ITSMのメリットとして、よく挙げられるポイントは下記の通りです。

  • ビジネスの優先順位に沿ったIT部門の形成
  • 部署を超えたコラボレーションの実現
  • 効率的なプロジェクト管理のアプローチを通じた運用部門と開発部門の団結
  • ナレッジの共有や継続的改善によるIT部門の強化
  • より効率的なサービスに向けたリクエスト対応の改善
  • 顧客中心のアプローチに基づいたセルフサービス機能の提供やプロセス改善
  • インシデント対応の迅速化と再発の防止

ITSMのアプローチ

  1. ITテクノロジーを構築して実装する
  2. 正しいプロセスを採用して実行する
  3. ユーザーは導入されたテクノロジーを習得し、プロセスに従う

…という3つのステップに沿って進めるのが、ITSMの最適なアプローチとして考えられることが業界ではよくありますが、アトラシアンの考えはこの通りではありません。アトラシアンでは常に「チーム」が重要であると考えています。そのチームの潜在能力を引き出す文化がなければ、最適なツールやプロセスがあっても、高いパフォーマンスを発揮できない場合が往々にしてあります。IT部門の役割が進化した今、決められたフローやルール通りに対応し続けるだけでは、組織の競争優位性は高まりません。

アトラシアンではまず、オープンで風通しの良い健全な文化を整えることで、変化にすばやく適応できる、弾力性の高いチームを作ることが重要だとしています。その上で、ITILのようなフレームワークをベースに、自分の組織に合ったプラクティスを構築します。そして最後に、そのプラクティスや効果を最大化するためのソフトウェアやツールを検討するが良いと考えます。

ところでITILとは…

ここまで何度か登場している「ITIL」ですが、これは「Information Technology Infrastructure Library」の略で、ITSMのためのベストプラクティスをまとめ、フレームワーク化したものです。異なる担当や業界のIT専門家が世界中から2,200人以上集まり、クラウドソーシングによってまとめられました。ITILはよく「ルール」であると誤解されがちですが、あくまでも「ガイドライン」です。

冒頭でも触れた通り、今年、ITILの最新版がリリースされ、ITIL 4となりました。この新バージョンでは、総体的なビジネスや顧客価値に着目し、それぞれの組織に合わせたより柔軟で適応可能なアプローチを元にしたフレームワークとなっています。以前のバージョンであるITIL 2011 editionでは「プロセス」にフォーカスされていましたが、バージョン4では原点であるベストプラクティスに立ち戻り、3つのカテゴリで34種類のプラクティスが定義されています。これは「プロセス」の導入に終始するのではなく、顧客への価値提供を目標にした包括的な取り組みが必要とされているという背景から再整備されたものです。34種類と、数が多く感じますが、まずはインパクトが大きく、着手可能なところから始め、徐々に範囲を広げるのが良いのではないでしょうか。

また、最新版のITIL 4では、リーンやアジャイル、DevOpsの概念も取り入れられています。アトラシアンでは、これまで既にアジャイルの手法やDevOpsのプラクティスをIT運用に適応しており、その取り組みやアトラシアンで実現するITSMについてご紹介するWebセミナーを予定しています。

無料Webセミナー「最新ITIL 4で変わるアジャイルITSM」

どこからでもインターネットに接続できるパソコンがあれば視聴いただけます。このセミナーでは、ITSMの成り立ち、最新のITIL4(ベストプラクティス集)について解説します。また、現場でどのような形でアトラシアン製品が最適なIT運用実現を支援できるかを、製品のデモを交えて紹介します。

日時:2019年12月4日(水)または12月18日(水)13:30〜14:30
参加方法:こちらのページからお申込ください。参加費は無料です。

アトラシアンが考えるチーム文化のあり方についてはもちろん、ITIL 4に基づいた新しいITSMとその実践方法をご覧いただけます。皆さまのご参加をお待ちしています。