分散型の働き方が一般的になる中で、新たな課題が浮上しています:それは情報過多です。私たちの周りには膨大な情報やデータが存在していますが弊社調査によれば、AIを活用して重要な情報を管理・発見できているのはわずか29%という結果がでています。
アトラシアンでは、Team Anywhere というワークプレイスプラクティスと AI の力を組み合わせることで、分散型チームワーク特有の課題克服のための青写真に基づき仕事を進めています。Team Anywhere は、分散型のチームに最適なコラボレーションツールとプロセスを設計することで、アトラシアンの従業員が毎日働く場所を選択できるようにしています。アトラシアンは、リサーチ部門である Teamwork Lab の支援を受けて、社内外のモダンな働き方を研究し、年次レポート「State of Teams」など、その知見を定期的に発表しています。
最新の「State of Teams 2025」レポートでは、チームは週の作業時間の25%以上を情報検索に費やしていることが判明しました。この絶え間ない情報検索は進捗を遅らせ、コラボレーションを妨げ、新しい働き方に適応するのを困難にしています。特に、企業が変化のペースに追いつくためにAIを活用したツールを戦略的に導入する中で、この課題はさらに深刻化しています。
チームはかつてないほど多くの情報を保有しているが、かつてないほど情報不足である
現代のチームは部門横断的な協業が期待されていますが、共通の用語体系がなければ情報は部門のサイロに閉じ込められ、それが仕事の進捗を妨げることにつながります。そして、この課題を解決するために会議を行うという追加のステップを生み出す – 結果としてさらに仕事の進捗を妨げるという悪循環に陥ってしまいます。
アトラシアンの「State of Teams 2025」レポートからの洞察
- フォーチュン500企業のチームは、情報の検索に24億時間を無駄にしています
- 経営幹部の93%は、部門を超えた協業がこれまで以上に重要だと述べています
- 経営幹部の98%は、チームがAIを効果的に活用してサイロを解消できていないことを懸念しています
- 経営幹部の96%は、チームがAIを効果的に活用する方法について完全に確信していないと述べています
- チームの71%は、情報管理と発見にAIを最大限活用できていないことを認めています
12,000 人のナレッジワーカーと 200 人の経営幹部を対象にしたアトラシアンの調査の詳細については、「The State of Teams 2025」レポートをご覧ください。
これらの課題が米国の大手企業にどのような影響を与えているかを観察し、アトラシアンの Team Anywhere は、チームが最高のパフォーマンスを発揮できるようにコラボレーションと生産性を促進することで、これらの課題の軽減に取り組んでいます。
アトラシアンの従業員はリモートワークを基本としており、従業員の40% はオフィスから 2 時間以上離れた場所に住んでいます。この働き方を踏まえ、アトラシアンの Teamwork Lab は、分散したチームがより効果的に作業を行うためのベストプラクティスの基準を作成しました。
Atlassian Teamwork Lab が提案する、分散チームのための 3 つの変革
- 郵便番号ではなくタイムゾーンでチームを編成し、もっともよく連携するメンバー間の勤務時間を十分に重複させる
- オフィスをプロダクトのように設計・運営し、従業員が出社するかどうかを選択できるようにする。出社する場合も、出社しない場合でも、オフィスでの体験は向上する
- テクノロジーを活用して、チームの所在地に関係なくチームを結びつける新しい働き方の実現(System of Work)
より詳しくご説明するために、Teamwork Lab の洞察を基に アトラシアンの System of Work を紹介し、企業の未来に新しい働き方が求められる理由を明らかにします。
System of Work の 4 つの原則
System of Work は、統一されたプラットフォームの力を最大限に活用するプロセスを通じて、共有の働き方を促進し、イノベーションを推進するという アトラシアンの哲学です。これにより、チームは各自の最適な方法で作業を行いながら、部門間でシームレスにコラボレーションし、アトラシアンのビジョンに沿って業務を進めることができます。
System of Work がもたらすインパクト
アトラシアンでは:
- アトラシアンのエンジニアは、Rovo により年間 50 時間以上の時間を節約
- アトラシアンは Loom を使用することで、2 年間で 50 万時間の会議時間を削減
- アトラシアン社員の 100% が毎日 Confluence ページでコラボレーション
アトラシアンのお客様の事例(Enterprise Strategy Group のレポート):
- 価値実現までの時間を 40% 短縮
- 中断を 35% 削減
- プロジェクトの成功率を平均 75% に(平均 57% から向上)
1. 作業をゴールに整合させる
アトラシアンでは目標の追跡を標準化し、進捗状況を可視化しています。Teamwork Lab の調査によると、明確で追跡可能な目標を持つチームは20% 効率が向上します。アトラシアンには、全社的な目標が 3 つしかなく、その目標は主要成果に組み込まれています。

Atlassian Goals プラットフォームを使用して、目標を組織全体に可視化する
Goals プラットフォームを使用すると、従業員はどのチームが何に取り組んでいるかを把握し、目標の達成に向けたプロジェクトに関する簡潔な洞察や最新情報を毎週受け取ることができます。企業全体の可視性を高めるには、Goals プラットフォームを使用して、誰もが閲覧できるシステムに目標を入力し、ビジネス戦略を可視化することができます。
2. 作業を計画し、進捗を追跡する
もっとも成功しているチームには、仕事の進め方について共通の理解があります。Teamwork Lab の調査によると、フォーチュン 500 企業の経営幹部で、チームが互いの優先事項や進捗状況を完全に把握していると回答したのはわずか13% でした。この統計だけでも、現代の職場における大きな断絶の一因となっていることがわかります。
Jira を使用して、仕事をオープンに計画、追跡

Jira を使用すると、チームは、進捗状況をリアルタイムで更新できることから、全員が確認できる方法で作業を計画し追跡できます。Jira は情報を一元化するためメールや資料、またはその分野の専門家を探すために余分な時間を費やす必要がなくなります。
3. 集団のナレッジを活用する
変革を推進するためには、すべてのチームともっともアクセスしやすい方法でコミュニケーションを取ることが重要です。アトラシアンでは、ConfluenceページとLoom動画を活用して、明確さ、エンゲージメント、つながりを促進する形で知識を共有しています。
Confluenceページでより効果的な会議を実施
Confluenceページは、チームがノート、プロジェクト、アイデアについて一致させるのに役立ちます
JiraやConfluenceのようなツールを使用することで、チームは知識を共有し、ほとんどの会議の必要性を軽減できます。しかし、会議が発生した場合、アトラシアンのチームは、議論するトピックを網羅したConfluenceページを提供することで、会議をより意味のあるものにできます。
これにより、会議の冒頭でトピックについて理解する時間が必要なくなり、戦略的で影響力のある会議に時間を割くことができます。Teamwork Lab は、会議の前に要約ページを提供することで、通常の会議に比べ、参加者のエネルギーが 29% 向上し、不満を感じる割合が 23% 減少したことを発見しました。さらに、ページを利用した会議では 85% が目標を達成したのに対し、対照群では 69% に留まりました。
会議中は、Loom AIが会議の要約、割り当てられたアクションアイテム、録画へのリンクを含むConfluenceページを自動的に生成します。アトラシアンユーザーの内部調査では、Loom AIを使用する人の過半数が、会議の主催、参加、欠席時に週に90分以上を節約していると回答しました。これは年間で約10営業日に相当します。
カレンダーと連携し、LoomのAI搭載会議メモ機能を有効にすると、会議開始と同時にConfluenceページが作成され、会議終了後すぐに重要な詳細が自動的に反映されます。この統合により、手動でのメモ取りが不要になり、参加者は議論に集中しつつ、チーム全体が会議の内容を容易にアクセスし、行動に移せるようになります。
非同期でLoomと接続

アトラシアンのCEO、Mike Cannon-Brookesは、全社向けメッセージを伝える際、メールの冷たい印象ではなくLoomを活用しています。Loomは消費者向けテクノロジーと同じ体験を提供し、リーダーシップのメッセージへのエンゲージメントを促進し、組織全体の一体感を生み出します。従業員は非同期で会話に参加し、特定の瞬間へのコメントも可能です。
しかし、Loom を使用しているのは アトラシアンの経営陣だけではありません。チームやマネージャーも、仕事や進捗状況を説明するために Loom を使用しています。Teamwork Lab は、アトラシアンのマネージャーを対象に、毎週 2 件の短い Loom をチームに送信するという実験を行いました。月曜日にその週の優先事項を共有し、金曜日にチームの努力を称賛する内容です。
マネージャーが両方の動画を作成するのに30分しかかからなかったにもかかわらず、書面でのメッセージではなくLoomを受け取ったチームは、チームとのつながりを感じると回答した割合が2倍になり、Loomを受け取った従業員の25%がチームの目標に関する明確さが向上したと報告しました。
Loom動画は、ライブ会議に参加せずに最新の進捗状況を把握するのを助け、従業員がより価値の高い仕事に時間とエネルギーを割くことができます。実際、アトラシアンの従業員は、対面でのミーティングの代わりに Loom を使ってコミュニケーションをとった結果、わずか 2 週間で 5,000 時間の集中時間を節約することができました。
4.AI をチームの一員にする
ページ主導のミーティング、Loom、可視化された作業の追跡により、誰もがアクセスできるナレッジシステムを構築できます。AI を追加すればその効果はさらに倍増します。
AIの真の価値を引き出すために、作業を単一のプラットフォームに集約
AIの効率化機能は、作業周辺の文脈をできるだけ多く提供することで機能します。AIはチャット、ページ、デザイン、ビデオ通話などのデジタルなインタラクションで駆動されるため、チームが作業だけでなく作業方法も中央集約化すればするほど、AIの潜在能力を最大限に活用できます。
AIをチームの一員として組み込む
アトラシアンでは、AIソリューションのRovoをチームメイトのように扱い、必要な情報を提供して業務を遂行しています。Rovoは、検索を容易にし、必要な知識をオンデマンドで提供し、エージェントの力を活用してタスクを前進させるのを支援します。
Teamwork Lab は、検索、チャット、エージェントなどの AI ツールや機能と最も効果的に連携する方法は、次のとおりであると結論付けました。
- 質問から始める
- 具体的なタスクや課題を定義する
- 明確な目標を設定する
- AI と連携して解決策をブレインストーミングし、アイデアを探る
- AI を利用して、より優れた成果を生み出す
Teamwork Lab は、この方法で AI を利用している人は 1 日 1 時間以上、1 週間で 1 営業日分の時間を節約していると結論付けました。
Rovo は、Atlassian Cloud プラットフォーム全体で機能し、作業を完了するために必要な情報を提供します。Rovo は、マルチモーダル LLM システムのパワーと Teamwork Graph の知識を組み合わせ、チーム、作業、目標全体にパーソナライズされた AI インサイトを提供します。

アトラシアンで使用されている Rovo エージェントの例:NORA
アトラシアンが社内でRovoを活用する一例として、新入社員のオンボーディングを加速するため、非技術チームがコードなしで完全に構築したRovoエージェント「NORA(Newlassian Onboarding Rovo Agent)」があります。このエージェントはアトラシアンのHRチームが従業員とのより深い関係を築くための時間を解放しました。現在、新規アトラシアンの70%以上がNORAを利用しており、その数は増加しています。
未来には新しい働き方が求められます:Teamwork Collection
Atlassian Teamwork Collection を使用すると、Jira、Confluence、Loom、Rovo のオンボーディングプロセスを簡素化することで、チームは System of Work を簡単に導入でき、企業はより早く価値を実現することができます。これは、コミュニケーションとコラボレーションの強化を通じて、組織全体の現代的な変革を推進し競争力と革新性を維持するための、コストと時間効率に優れた方法です。
Teamwork Collectionを全社導入することで、System of Workの原則である「目標と作業の整合」「進捗の可視化」「ナレッジの最大活用」「AIによる業務変革」を一気通貫で実現し、組織の変革スピードと競争力を飛躍的に高めることが可能になります。経営層にとっては、全社のリソースを戦略目標に集中させ、変化の激しい市場環境でも持続的な成長とイノベーションを実現するための最適な基盤となります。