ソフトウェア開発のための管制室「Compass」

複雑を極める分散ソフトウェアアーキテクチャを掌握する

現代のソフトウェア開発は、ますます複雑でコラボレーションを要するプロセスになっており、これまでにないほどの数多くのツールやプロセス、責任を伴います。この複雑さを放置すると、ビジネスの俊敏性や生産性が損なわれるだけでなく、不要なフラストレーションや苦労を開発者に強いることになります。

モダンアプリケーションは、ビジネスの成長を支援し、規模やコスト、レジリエンスといった観点でより効率的で効果的であるために、モノリシックなアーキテクチャからマイクロサービスへと構造が変化しました。その結果、ソフトウェアはもはや書くものではなく、組み立てるものになりました。さらに、開発者はソフトウェアの構築だけでなく、メンテナンスやアップタイムを含む運用にも責任を持ちます。

アトラシアンが行った調査「Atlassian State of Developer Survey」によると、開発者の69%が業務で使用するツールの数が増えていると回答しており、55%がそうしたツールにより自分の役割が複雑になっていると答えています。新しい責任を負うたびにツールが増えるにも関わらず、すべての業務を一元的に管理できる場所はありません。その結果、不満を抱えながら残業しなければならない開発者が生まれ、ビジネスの革新とスピードを阻む大きな要因となっています。

この度アトラシアンは、ソフトウェア開発チームの負担を軽減する新製品「Compass」を発表しました。Compassは、次世代の新製品をお客様と共創するプログラム「Point A」から誕生した製品で、次の3つの要素で構成されています。

  • コンポーネントカタログ:開発者がソフトウェアを組み立てるために使用するすべてのコンポーネントと、そのコンポーネントを所有したり、共同作業をしているチームの情報をマッピングして視覚的に提示します。開発者は、共有コンポーネントやドキュメント、そしてソフトウェアを構築するためのその他の重要な情報に単一の場所からアクセスできます。
  • スコアカード:満たすべきベースラインやセキュリティ、またはコンプライアンス要件に基づいてアーキテクチャを測定および評価できる、DevOpsの健康状態を確認するツールです。
  • アプリ:アプリをインストールための拡張エンジンで、さまざまな開発者向けSaaSツールの情報を取り込むことで、チームのすべての作業の統制と、作業に最適なツールを選択する柔軟性を提供します。

「コンポーネント」でソフトウェアのアーキテクチャとチームをマッピング

「コンポーネント」は、時間とともに進化する技術的なアーキテクチャと関連するチームの両方を追跡するための統一されたインターフェースを提供します。これにより開発者は、すべてのソフトウェアを構築するために必要な共有コンポーネントやドキュメント、その他の重要な情報に一箇所からアクセスできます。

また、コンポーネントとその所有者の依存関係をカタログで把握できるため、開発者は必要なコンポーネントやサポートを依頼すべきチームを、迅速かつ容易に見つけられます。たとえば、あるコンポーネントに行なわれた変更についての最新情報と、関連する依存関係をすべて一箇所で確認できるため、インシデントからの復旧作業が改善されます。

スコアカードで開発と運用の状態を定義し改善

チームは通常、ソフトウェアコンポーネントの安全性と信頼性を保持するために、年に数回、監査を行いますが、この頻度では異変の発見が手遅れになります。

Compassでは、コンポーネントに表示されるヘルススコアカードにより、通常年に1〜2回行われる監査が、ほぼリアルタイムで行われます。ヘルススコアカードには、コンポーネントに何が起きているのか、そして解消のために何をすべきかが明確に記載されます。

「スコアカード」により、組織は特定の運用、セキュリティ、およびコンプライアンス要件に関するベースラインを設定でき、いつでも確認できるようになります。また、スコアカードでは注意が必要とされる問題のあるコンポーネントや、時間の経過とともに発生した変更についての洞察も提供されるため、チームはアーキテクチャを改善し、インシデントの影響を(あるいはインシデント発生の可能性を)最小限に抑えることができます。

さらに、スコアカードは、チームのオペレーションを長期的に改善するためのベストプラクティスを提供します。Compassに組み込まれた定期的な評価を通じて、チームは運用上の問題を特定し、コンポーネントのパフォーマンスと健全性を検討し、既知の問題に対処するためのアクションアイテムを作成できます。

拡張エンジンで世界レベルの開発者体験を構築

Compassには、チーム独自のニーズに合わせてエクスペリエンスを拡張・カスタマイズするための「アプリ」と呼ばれる強力な拡張エンジンが搭載されています。オープンツールチェーンのアプローチにより、コード、CI/CD、オブザーバビリティ(可観測性)、インシデント管理、APM、セキュリティなど、異なるSaaSツール間の情報をCompassに取り込み、それぞれのチームの働き方やツールにマッチした開発者体験が構築されます。

Compassは、アトラシアンのクラウドアプリ開発プラットフォームであるForgeと完全な互換性があり、安全で信頼性が高く、拡張性の高いアプリを簡単に構築できます。また、業界トップのSaaSベンダーとも提携し、世界レベルの開発者体験を提供します。一方で、チームごとの独自のニーズやツールの嗜好にも対応できるよう、新しいアプリを簡単に作成することもできます。Forgeの統合された Functions-as-a-Service(FaaS)プラットフォームにより、アトラシアンが運用するコンピューティングとストレージを活用し、どんなチームでも最小限の設定でCompassを拡張することができます。

Compassを使ってみる

Compassにより、時間とともに進化するソフトウェア開発コンポーネントの全容と、コンポーネントを通じて構築や共同作業を行うチームを把握でき、分散アーキテクチャにおける管制室の役割を果たします。

コンポーネント、スコアカード、アプリを備えたCompassを活用して、多くのチームがソフトウェアの乱立に対処し、その働き方を改善するのを拝見することを楽しみにしています。

Compassは現在アルファ版が提供されており、近日、ベータ版を公開する予定です。Point Aプログラムの一環として、今後もお客様の声を反映させながら進化を続け、最終的にはお客様にとって喫緊の業務課題を解決し、お客様のニーズに応えてまいります。