Happy 10th Birthday to Atlassian K.K.

アトラシアン株式会社設立10周年!成長と感謝の軌跡

アトラシアン株式会社 10周年

皆さんこんにちは!アトラシアン株式会社、マーケティングの朝岡です。

アトラシアン株式会社は、2023年6月13日の本日、豪州シドニーに本社をおくAtlassianの日本法人として会社を設立してから満10年が経ちました。

当社が10周年を迎えるという節目の年、記念行事やらキャンペーンやら、色々と企画を準備するつもりだったのですが、相変わらず当社らしくといいますか、忙しさにかまけてすっかり企画が後手後手になってしまい、記念すべき10周年を迎える当日は、入社9年目の私がブログを書いてお茶を濁す皆様に感謝の気持ちをお伝えするとともに、これまでの歩みを振り返ってみることにしましたので、お付き合いただければ幸いです。
(実は、少し遅れてにはなりますが、記念行事も企画しておりますので、そちらは別途の案内を楽しみにお待ちください!)

ユニークなアトラシアンの日本法人は超ユニーク

一瞬、何を言っているか分からないかと思いますが・・・Atlassianという会社は、世界的にもユニーク(英語の意味でも日本語の意味でも)な会社です。

当社では、入社直後にさまざまなチームのリーダーと個別に話をする機会を設けているのですが、私がマーケティングを代表して新入社員の方にお話しする際は、必ずこの話をします。意外と皆さんご存じない内容ので、この機会に読者の皆様にも共有しつつ、「ユニークなアトラシアン」をキーワードにこの10年を振り返ってみたいと思います。

シリコンバレーではなくオーストラリアの会社

さすがに読者の皆様はこの事実をご存じの方が大半かと思いますが、意外と世の中多くの方は、ソフトウェア企業といえばシリコンバレー、または、アメリカ発と思っていらっしゃいます。

それも、オーストラリアって珍しいですよね。かく言う私も、オーストラリアと言えば、カンガルー、農業、鉄鉱石くらいしか思い浮かばなかったのですが、Atlassianは2002年にオーストラリアのシドニーで創業した企業で、今も創業者の二人はそこを本拠地とし、後進の育成に取り組んでいます。

その一環で現在、ニューサウスウェールズ州政府と共に、テック・セントラル地区をイノベーションと技術革新の街=オーストラリアのシリコンバレーにすべくその開発に携わっており、その中心地には、世界一高い木造ビルとなる予定のアトラシアン本社ビルを建設中です。(ちなみにこの施工を受注したのが大林組というのは、日本人としては何となく嬉しいポイントでした。)

そのような背景もあり、私たちのオフィスにはコアラのぬいぐるみがいくつか転がっていて、展示会などにも連れて行き、無駄にオーストラリアをアピールすることがこれまでも度々あったりしました。

オフィスに置かれたコアラのぬいぐるみ

実は、どこへ行くにも遠いこの地に創業したことが、いまのSaaS企業の主流ともなっているアトラシアンのユニークなビジネスモデルが生まれた大きな要因となっています。少し前、日経新聞に当社共同創業者のひとり、スコット・ファークァーのインタビューをしていただいた際に私も同席していたのですが、スコットの口から、シリコンバレーに創業していたらやっていなかったであろう、新しいビジネスモデルを構築できたことを誇りに思っているという話や、当時の状況を聞けたことは、私にとっても貴重な経験となりました。

〇〇があるのは日本法人だけ

一般的に外資系企業というと、「本社があって、各国にそのコピーともいうべき組織機能を持った支社があり、その会社がその地の売上のために事業を営んでいる」という印象ですよね?

アトラシアンは違います!

まず、オフィスの立ち位置が違います。アトラシアンでは、オフィスはあくまでも「その時その場にいる人が必要に応じて活用できる場所」であって、その地の売上に責任を持っている人が紐づく職場ではないのです。

はい、また良くわからないこと言ってますね。頑張って説明してみますと、通常本社には創業者であるファウンダーや事業責任を持つCEOやPresident等がいて、マーケティングや営業、テクニカルサポートにコンサルティング等、ビジネスを司るチームやそれを支援するバックオフィスなチームがあったりします。例えば米国企業であったりすると、本社はグローバルの数字に責任を持つとともに、米国市場のオペレーションをメインで担当しており、その他地域のオフィスは、その国の言語や商習慣に合わせて少しずつその構成や事業内容を変えつつ、各社の管轄地域のためにオペレーションをしています。

ところがアトラシアンは、シドニーとサンフランシスコを2大拠点としつつ、コロナ以前から存在していたリモートワーク制度の存在も手伝って、従業員がどの地域に居住しているかは関係ありません。

また、アメリカの営業部、オーストラリアの営業部、という形ではなく、全世界で営業チームは1つしか存在しておらず、各営業は担当のお客様について責任をもっているため、一人が複数の国のお客様を担当しているということも実際にあります。

しかし、アトラシアン株式会社だけは、いわゆる一般的な外資日本法人と同じく、日本のお客様のエンド・ツー・エンドの体験に対して責任を持っています。

例えば、ご購入前のお問い合わせや、ご購入後のテクニカルサポートサービスやドキュメント類は、アトラシアン株式会社が日本語で現地より提供しております。アトラシアン社としては基本的にサービスやドキュメントの提供は英語のみとなっており、こうして現地に根ざしたサービスが受けられるのは、日本法人だけです。

さらに特殊なのが私が存在しているマーケティングチームです。実はアトラシアンは、米国がマーケティングの舵取りを行なっており、基本的に英語で、米国圏の発想のもと、マーケティング活動を行っています。あれ、オーストラリアの会社なのに?と思われるかもしれませんが、実はオーストラリアオフィスはそのほとんどをR&Dが占めています。ちなみに少し前のデータになりますが、ソフトウェア企業としてかなり特殊なことに、アトラシアンはその売上のほとんどをR&Dに再投資しており、販売費が収益に占める割合は驚くほど少ないのです。

アトラシアンの特異なビジネスモデル

そのような状況のため、私たちの職務は、本社から与えられた内容をローカライズするというよりも、企業内のマインドシェアを勝ち取り、ゼロをイチにしていく活動が多かったりします。こう聞くと大丈夫か、アトラシアン?と思われるかも知れませんが、これこそがアトラシアンが日本に投資している証拠で、本社の経営陣が、日本にはアトラシアンの誇るフライホイールモデルをそのまま持ち込んでも上手くいかないと認識しているからです。そのため、アトラシアンの日本進出に際しては、日本の顧客に寄り添う部隊を組織し、その指揮をとるゼネラルマネージャーを10年前に採用するところから始まりました。

ゼネラルマネージャー(いわゆるカントリーマネージャー)の存在も、アトラシアン社全体からみて、アトラシアン株式会社だけにある固有の存在で、代表のスチュアート・ハリントンは、株式会社設立当初から10年連続で当社の代表を務めているという事実もまた、特有ポイントです。

アトラシアン株式会社トリビア

代表のスチュアート・ハリントンはアメリカ国籍の持ち主ですが、三歳の頃に両親と共に来日して以来日本に永住しており、日々日本のエンジニアの地位向上と、日本企業の良さを世界に発信していくために尽力しています。外資系企業がその地で成功するために必要なのはバイリンガルではなく、バイカルチャーだという彼の言葉のとおり、まさに生きるバイカルチャーなハリントン。もはや「日本は特殊」と押すだけではどんどん世界においていかれる時代、グローバルと足並みを揃えながらも、日本人の口に合うように「醤油を足す」ことができる彼のリーダーシップは、日本市場におけるアトラシアンの成長に大いに貢献しています。

コアラとスチュアート・ハリントン

今では当たり前に思える日本円での販売も、ほんの4年ほど前の2019年8月1日より開始されました。実は、アトラシアンは米ドルと日本円のみを取り扱っていて、これも日本法人がその必要性を説き、本社と一緒になって調査から実施まで数年がかりで取り組んだ結果なのです。

そんなアトラシアン株式会社は、アトラシアンのグローバル組織の中で最も異質な存在ですが、すべては日本のお客様の総合体験をより優れたものにするために、特別に立ち上げれらたチームだからなのです。

サッカーピッチと業務用キッチンの間で

設立当初は、渋谷のレンタルオフィスにて日本向けに事業を開始した当社ですが、ほどなくして横浜のみなとみらいにオフィスを構えます。そこはなんと、サッカーファンならご存じ、横浜マリノスが以前に本社と練習場を併設していたスポーツ施設、マリノスタウンの中にありました。しかも面白いことに、その中でもイタリアンレストランがあった場所をほぼ居抜きで借りたことから、某有名選手が練習をするフィールドをガラス越しに望む机で仕事をし、レストランの厨房で思い立った人が料理をして、家族のように食卓を囲んでのんびり昼食を食べ、会議はいわゆる「個室」で行うという、なかなかにユニークな経験ができたのはこの頃です。

アトラシアン マリノスタウンオフィス1
アトラシアン マリノスタウンオフィス2
アトラシアン マリノスタウンオフィス3

「のんびり」というのがポイントで、この頃はまだ日本語のサポートも正式には開始しておらず、製品マニュアル類も英語のままでした。つまり、メールも電話もなく、社員はまだまだ「暇」だったんですね(笑)

人数も片手で数えるくらいしかいなかったので、みんなで仲良くエントランスの鍵をかけて全員ランチに出払ってしまうなどということも、ままありました。

ちょうどその頃入社した私は、入社して最初の仕事がIKEAで調達された自分のデスクを、これまたIKEAの電動ドライバーを使って自分で組み立てるということだったり、セミナー実施のために、まるで自宅の模様替えさながら本棚の位置をずらして折りたたみ式のテーブルと椅子(それもガーデン仕様な!)をレイアウトしたり、玄関の掃き掃除と窓拭きをしたり、ポップサインを作ってみたり、かなり手弁当な感じの業務に驚きながらも、笑いながら対応していたのは、今となっては良い思い出です。

その後もアトラシアンは、実際に使われていた倉庫をリニューアルした物件に数年入ったのちに、現在のランドマークタワーに移転しました。かつてのマリノスタウンはアンパンマンミュージアムになり、倉庫オフィスは取り壊され、新しく商業施設に生まれ変わる最中で、現在オフィスはユニークポイントではなくなってしまったのはすこし寂しい気がしますが、特にお天気の日には清々しく仕事ができる場所なので、何かの機会にぜひ遊びにきていただければと思います。

入居前のアトラシアン倉庫オフィス
入居前の倉庫オフィス
ランドマークタワーのオフィス
(入口付近)
アトラシアン倉庫オフィスのエントランス
倉庫オフィスのエントランス
ランドマークタワーのオフィス
(オープンスペース)
アトラシアン倉庫オフィス内オープンエリア
倉庫オフィス内オープンエリア
ランドマークタワーオフィスの窓から

開発チームの支援から日本企業のアジャイル化支援へ

当社はアジャイルソフトウェア開発に最適なプロジェクト管理ツールの提供から始まった企業です。不確実性の高い時代背景の後押しもあり、今やアジャイルは開発者だけのものではなくなっています。アジャイル経営、アジャイルマーケ、アジャイルなんとか・・・巷にはアジャイルが溢れかえっていますが、アトラシアン株式会社が今目指しているのは、日本企業のアジャイル化です。

アジャイルの根本にある思想は徹底した顧客中心主義であり、その実現のために、常に新しいテクノロジーと働き方に適応し続ける企業こそが、アジャイルな企業であると言えます。

しかし、「顧客のため」と「デジタル」を紐づけて考えることができていない企業や組織は少なくありません。

デジタルは、企業にとって競争力を高めるためのツールであり、デジタルに成熟した企業は、これらのツールを使ってアジャイルに行動できるだけでなく、それを使うための文化やスキルがあり、顧客にとってユニークなエンド・ツー・エンド体験を提供できる企業です。

アトラシアン株式会社は、日本企業が徹底した顧客中心主義を目的としたデジタル活用を可能にするツールを提供し、そのために必要となる文化やスキルの醸成を支援をすることで、日本企業が再び世界で存在感を取り戻すお手伝いができたらと、社員一同願いながら、これからも日本の皆様のために何ができるか、何をする必要があるのかを考え、日本に根付く企業として事業を継続してまいります。

最後に改めまして、ここまで当社の事業に何らかの形で関わっていただいたお客様、販売パートナー様、メディアの皆様、協力会社の皆様など、すべての方に感謝を申し上げると共に、この先も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

アトラシアン株式会社 10周年ロゴ

2023年6月13日 アトラシアン株式会社