2014 年に調査を実施したところ、当社顧客の約 3 分の 1 がソフトウェア開発以外のプロジェクトに JIRA を使用していたことが分かりました。彼らはマーケティングコンテンツのレビューサイクル、サプライチェーンの製造工程、新薬の臨床における患者の管理などに JIRA を使用していました。非技術系チームにおいても JIRA が使われていたのです!
職種はさまざまですが、各チームの JIRA の使い方には共通する特徴がありました。いずれのビジネスチームも仕事を管理するためのワークフローとして使用していたのです。
皆さんはこう考えるかもしれません。「おお、まさに自分のチームのようだ!」あるいは「自分のマーケティングチームは JIRA を使っていると思う」さらには「一緒に仕事をするすべてのチームが、同じプロジェクト管理ツールを使えば素晴らしいに違いない」と考える方もいらっしゃるでしょうか。
そのような要望に応え JIRA Core という製品を開発しました。JIRA を初めて使用する方でも、JIRA を使い慣れたベテランの方でも、この記事で本製品の使用法やビジネスワークフロー設定方法の概要を把握して頂けます。そして、管理者とエンドユーザーの両方のベストプラクティスを学ぶことで、ワークフローを使いこなす手助けになると考えています。
「ビジネスプロジェクト」と「ビジネスワークフロー」とは?
「ビジネスプロジェクト」とは、ビジネスチームが計画を立て、仕事を管理するためのワークフローテンプレートです。ビジネスプロジェクトの文脈において、ビジネスチームがタスクを処理するステップを定義しやすくするものがワークフローです。JIRA Core はすべての JIRA 製品に含まれています。そのため、JIRA Software や JIRA Service Desk のプロジェクト作成セクション内でこのビジネスプロジェクトを見つけることができます。(JIRA Core についての詳細はこちらのお知らせ記事をご覧ください。)
ビジネスプロジェクトにはタスク管理 (Task management)、プロジェクト管理 (Project management)、工程管理 (Process management) ワークフローなどがあり、いろいろなビジネスチームに合わせて用意されています。すぐに使用することも、各チームの仕事方法に合わせてカスタマイズすることも可能です。タスク管理は単純なタスク用に、プロジェクト管理はマーケティングキャンペーンなどの大規模プロジェクト用に、そして工程管理は購入の承認などの日常的なタスク用にご利用頂けます。
各プロジェクト用にワークフローを作成する方法
先ほどはビジネスプロジェクトについて定義しました。それではワークフローの定義について簡単に見てみましょう。
- 課題とは、取り組まなければならないことです。ビジネスプロジェクト内では、課題はタスクと呼ばれます。
- ステータスとは、ワークフロー内の特定の地点におけるタスクの「状態」を表しています。
- トランジションとは、2 つのステータスの繋がりですが、一方通行となっています。
それでは、これらの用語を実際の例で見てみることで理解を深めていきましょう。アトラシアンでよく使うマーケティング工程として、ブログ執筆があります。たとえば JIRA Insiders のようなブログを公開するにあたり、著者とそれを支援するチームメンバーは、カスタマイズした工程管理ワークフローでいくつかの段階を通過します。以下に示すように、私たちはこのワークフローの各ステップを概説した上で、これらをステータス化しました。
やること (To-Do) | ブログの執筆 |
下書き (Draft) | 執筆作業開始、現在執筆中 |
レビュー中 (Under Review) | コンテンツマネージャーが下書きをレビュー、編集 |
ウェブタスクの追加 (Add Web Tasks) | ブログマネージャーが下書きページに追跡タグと SEO を追加 |
サイトで公開 (Live on Site) | ブログマネージャーが記事をサイトにアップロード |
完了 (Done) | タスクを完了して終了 |
各ステータスを用意できたら、次はトランジションを検討しなければなりません。ユーザーがタスクを次のステップに進めるのに必要なのがトランジションです。例えばこのブログレビュー工程では、著者が下書きを完成させると「レビューを依頼 (Submit for review)」することができます。これにより、レビューを行うためにタスクはコンテンツマネージャーへと移動します。このブログ承認ワークフローの概略図は以下のようになります。
また、助かる機能として、このプロセス管理ワークフローにはあらかじめ用意されたフィルターがあります。ブログ下書きの中で承認が必要なものをすぐに見つけることができます。(これは、コンテンツマネージャーなど、承認を行うユーザーにとって特に便利な機能です。)
ワークフローのカスタマイズに使える高度な機能
理想的な世界では、あらゆるブログ作成作業が上記のワークフローにきちんと従うことになります。しかし現実には、完璧ですぐに公開できるブログが作成されることは滅多にありません。そのためアトラシアンでは、コンテンツレビューのワークフローをカスタマイズして多くの高度な機能を追加しました。特定のタスクを実行するユーザーを限定する、ステータスが変わる前に情報を追加する、何かが起こった後にメール通知を追加する、といった機能です。
たとえばアトラシアンでは、コンテンツを承認する権限が全員に与えられているわけではありません。コンテンツマネージャーのみがブログを承認し、blogs.atlassian.com で公開することができます。そのため、ブログ記事を承認してチケットを「レビュー中」から「ウェブタスクの追加」へ移行できるのはコンテンツマネージャーだけなのです。このような種類の条件をトランジションへ追加することで、適切なユーザーが適切なタスクを確実に遂行できるようになります。
アトラシアンで実際に用いているもう一つのカスタマイズを見てみましょう。あるユーザーが、タスクをあるステータスから他のステータスへ移行する前に、ステップを追加する必要がある場合があります。ブログの最初の下書きがコンテンツマネージャに却下されたとき、ブログの著者は却下の理由を知る必要があります。そのため、タスクが「レビュー中」から「下書き」に移行されるときに、追加のコメントフィールドを用意しています。それにより、コンテンツマネージャーは編集内容や却下の理由を説明できます。
ビジネスプロジェクトにおいて適用する場合、これらの高度な機能について検討するにはある程度の時間がかかるかもしれません。しかし、ソフトウェア開発チームのワークフローを作る場合と同じように考えればいいのです。
実際に、組織全体におけるすべてのプロジェクトやワークフローについてこの考え方を応用できるのです。各ビジネスチームが、実際の仕事の進め方に合わせてこれらのワークフローや機能を使用することができます。マーケティングチームはブログを書くだけではなく、キャンペーンを実施したり販促用品を作成することもあります。人事チームは面接のプロセスにおいて採用候補者を管理し、金融チームは購買の承認や決算処理をします。そして法務チームはすべての書類が最新のものになるように、改訂を管理します。
ワークフローについてもっと詳しい情報
上記の例ではビジネスチームのプロセスに注目しましたが、紹介したプロのヒントや定義、機能などはどんなチームにおいても適用可能です。現在のワークフローに改善の余地があるとお考えの方、あるいはビジネスプロジェクトをたち上げたい方は、会社のグローバル管理者に相談してください。そしてあなた自身がグローバル管理者なら、下の緑ボタンをクリックして、ビジネスチーム用にワークフローをカスタマイズする方法についての詳細をご覧ください。
ワークフローを様々なチームにおいて活用したいとお考えの方は、過去のブログシリーズである、最高のワークフローを作成する方法と最高のワークフローを活用する方法もご覧ください。
*本ブログは Atlassian Blogs の翻訳です。本文中の日時などは投稿当時のものですのでご了承ください。
*原文 : 2015 年 11 月 3 日投稿 "A guide to setting up business workflows using JIRA Core"