みなさん、こんにちは。アトラシアンでコミュニティマーケティングを担当している新村です。今回は10月8日にオンラインで開催された第83回 ACE Tokyo Online Meetupの様子をレポートしたいと思います。ACE Tokyoはアトラシアンの公式コミュニティで、アトラシアンに関心を持つみなさんの交流の場として多くの参加者にお集まりいただいています。東京を中心に活動していますが、今後はオンライン、オフラインを交えつつ、多くの方にご参加いただける形を作っていきたいと思っています。
今回はKDDIアジャイル開発センターの新妻さんに「PMOとしてのAI活用事例」をテーマにお話しいただきました。LoomとConfluence、そしてRovoをはじめとする生成AIを組み合わせて業務を自動化し、人間は判断に集中する仕組みを構築した実践アプローチについて解説いただきました。
分散したコンテキストの集約が拓く、AI時代のPMO像 〜AIに作業を任せ、人は判断に徹する実践アプローチ〜
複雑化するプロジェクトで直面した「情報の散在」と「定例の乱立」
新妻さんがPMOとして担当されたアプリ開発プロジェクトでは、多数のステークホルダーが関わる複雑な体制ゆえに、コミュニケーションツールや情報が散在し、会議や定例・分科会が乱立するという課題を抱えていました。また、Jiraの運用ルールもチームごとに異なっており、単なる個別のタスク管理に留まって全体像の把握が難しくなっていました。
こうした状況下で業務効率化のためにAIを活用しようとしても、情報が分散した状態ではAIが十全に機能しません。そこで新妻さんは、まずAIが力を発揮するための土台作りとして「コンテキストの集約」に着手されました。
AI活用の土台となる「コンテキストの集約」
最初に取り組まれたのは、分散していた各種会議の情報を一箇所に集める仕組み作りです。各種ミーティングにLoomを連携させて録画と要約を自動生成し、Confluenceへと自動集約。Loomが導入できない会議体についてもたとえばGoogle MeetはGeminiの議事録をClaude Coworkの定期実行でConfluenceへ反映するなど、別ルートで流し込むフローを整えられました。
議事録作成や初期要約といった定型作業をAIに委ねる一方、決定事項の確定、機密情報の取り扱い、公開範囲の設定といった責任を伴うプロセスは人間が判断する体制を構築。これにより、プロジェクト内の議論や意思決定の文脈がConfluenceに一元化され、AIが情報を横断的に引き出せる基盤が整いました。
業務を自動化・省力化する「3つの仕掛け」と「共通の型」
Confluenceへのコンテキスト集約を起点として、新妻さんはPMO業務を支援する具体的な仕掛けを順次構築していかれました。
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課題・アクションの自動抽出と通知:Confluence上に蓄積された議事録から、Rovo等のAIエージェントがPMO視点で課題やアクションを自動抽出。要約・抽出用とSlack通知用でエージェントを使い分け、埋もれがちな課題を可視化。人間は抽出された内容の優先度付けとエスカレーション判断に集中します。
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アジェンダ抽出と参加者の自動特定:ConfluenceのエントリーページからRovoがアジェンダの有無を検知し、議論に必要なメンバーを特定。Power Automateと連携して開催や中止の連絡を自動化し、人間は最終確認のみを行います。
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スプリントレポートの自動作成:Jiraの運用がチームごとに異なり横並びで比較しにくいストーリーポイント消化状況やユーザーストーリー比率をAIが集計し、判断が割れる例外ケースのみ人間がレビューします。運用を統一させるのではなく、「どう数えるか」(チーム判定・完了判定・対象スプリント)をスキルとして明文化し、集計から自己検算、Confluenceへの記録までをClaudeに任せている点がポイントです。
これらの施策には「集める → 整える → 抽出する → 届ける → 判断する」という共通の型が存在します。作業や整形はAIと自動化に任せ、人間は最後の「判断」に徹する設計です。
実践から見えた学びと、これからの人間の役割
一連の取り組みにより、これまで作業に奪われていた時間が「判断や意思決定に使う時間」へとシフトしました。成功の要因として、新妻さんは「既存ツールを無理なく繋げたこと」「普段見ているSlackを出力先にしたこと」「完璧を求めず人が後から直せる余地を残したこと」「小さな範囲から始めたこと」を挙げられました。
一方で、チャット上の細かな意思決定コンテキストの取り込みや、命名規則・テンプレートといった前提条件が崩れた際のエラー対応、運用の属人化防止などが今後の課題として共有されました。
新妻さんは最後に、「AI活用の出発点はコンテキストの集約にあります。人間が担うべき仕事は『AIが自律的に働ける環境を整えること』、そして『決める・優先順位をつける・責任を持つという判断に集中すること』へと移行していきます」と締めくくられました。
Live Q&A
セッション後のLive Q&Aでは、実際の運用に踏み込んだ具体的な質問や活発なディスカッションが行われました。主なものとしては次のようなディスカッションがありました。
- Loom以外のツールでのコンテキスト集約について:Loomを導入していない環境での進め方についての質問に対し、「必ずしも特定のツールである必要はなく、Google MeetやTeamsの文字起こしなど、既存の議事録データをどこか1箇所(Confluenceなど)に集約する導線を作ることが肝要」というアドバイスがありました。
- 自動化運用の安定性と属人化対策:自動化フローが停止するリスクや属人化への懸念については、「1つのフローに詰め込まず細かく切り分けること」「マニュアル作成自体にもAIを活用してドラフトを作り、チーム全体で引き継ぎやすくしておくこと」が共有されました。
- AIの役割と人間の関わり方:AIを単なる効率化の「手足」として使うだけでなく、「壁打ち相手」としての活用も進んでいる一方で、感情や定性的な違和感はデータに残りにくいため、「そうした気づきを吐き出せる場づくりやルール設計、最終的な優先順位付けこそが人間の役割」という意見で盛り上がりました。
ACE Tokyoではこのようにさまざまなテーマで情報の共有や議論を行っています。一人で悩むよりACE Tokyoでみんなと相談すれば、皆さんのナレッジを活用してより良い解決策を見つけることができます。
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