みなさん、こんにちは。アトラシアンでコミュニティマーケティングを担当している新村です。今回は1月29日に大崎のフリー株式会社さんに会場をお借りして開催された第76回 ACE Tokyo Meetupの様子をレポートしたいと思います。ACE Tokyoはアトラシアンの公式コミュニティで東京を中心に活動していて、オフラインのイベントを中心にアトラシアンに関心を持つ皆様の交流の場として多くの参加者にお集まりいただいています。
今回のACE Tokyo MeetupではAdmin分科会主催で「フリーがConfluence・Jira Service Management・Rovoで実現したナレッジマネジメントと業務改革」というテーマで、非IT部門がアトラシアン製品をセルフ運用してナレッジマネジメントと業務改革を行った事例を紹介いただきました。非常に刺激的な事例で、参加者の皆さんはもちろん、参加したアトラシアン社員からも「すごい!」という声が上がっていました。こちらのブログではそんなイベントの様子をお届けしたいと思います。
ACE Tokyoのイベントは乾杯から
ACE Tokyo Meetupではイベント中もリラックスして聞いていただきたいという意図で、最初に乾杯を行います。今回はAdmin分科会のリーダーであり、今回の会場提供いただいているフリーの社員でもある高橋さんから乾杯の挨拶をいただきました。
ACE Tokyoの紹介 ~ なぜフリーは1年半でConfluenceの利用を全社定着できたのか確認してみた
引き続き高橋さんからACE TokyoのリーダーとしてACE Tokyoの紹介をしていただきました。高橋さんはConnect Globaly, Meet LocalyというACEのコンセプトについて、ご自身のこれまでの活動を交えてお話しいただきました。
そしてそのまま立場をフリーの社員に変えて「なぜフリーは1年半でConfluenceの利用を全社定着できたのか確認してみた」というお話をいただきました。セッションの要約はこちらになります。
フリーがどのように短期間でConfluenceを全社導入し、社内に定着させていったのか。フリーに入社してからの気づきをふりかえりながらお話ししました。
私は約18年間Atlassian製品の運用に携わり、コミュニティのリーダーとしても9年ほど活動してきました。その中で多くの管理者の方から、「どうすればもっと多くの人にツールを使ってもらえるのか」という悩みを聞いてきました。
フリーでは、2024年4月にナレッジマネジメントのための基盤としてConfluenceの全社導入を決定しました。現在では、社内のあらゆるところで「詳細はConfluenceでチェック」と案内されるほど、Confluenceは日常的に使われています。
この短期間でConfluenceを定着させることができた理由として、私は主に次の4つのきっかけがあったと考えています。
- 全社OKRとして「ナレッジマネジメント」を設定したこと
- 各組織にナレッジマネジメント担当者をアサインしたこと
- 公式ドキュメント・規定類の集約にフォーカスした施策を実行したこと
- ナレッジから回答を自動生成するAIボット「わカルさん」を開発したこと
これらの取り組みによって、フリーでは次のような好循環が生まれています。
AIが的確に回答してくれる
→ もっとナレッジを整備しようというモチベーションが高まる
→ さらにAIの回答精度が上がる
この好循環こそが、Confluenceが全社的に利用されるようになった大きな要因だと考えています。
今後は、マニュアルや規程といったドキュメントだけではなく、ノウハウやスキルといった暗黙知もナレッジとして整理・形式知化し、より高いパフォーマンスを発揮できるような取り組みを進めていきたいと考えています。
freee法務がセルフで実現するJira Service Management / Confluence活用による業務改革
続いてフリーの法務部門でナレッジマネジメントを担当している秋山さんから、ご自身が法務部門でナレッジマネジメントを実現し、業務改革を行なってきた事例をご紹介いただきました。こちらも要約をまとめさせていただきました。
ITに詳しくない法務担当が実現した、ナレッジマネジメントと業務改革
私はITツールに詳しいわけではありませんが、それでもAtlassianのツールを活用することで、ここまで業務改革を進めてきました。本セッションでは、その軌跡をお話ししました。
私はフリーの法務部門で、契約書の審査やそれにともなう相談対応を担当しています。同時に、法務部門のナレッジマネジメント担当としての役割も担っており、社内の各部署から寄せられるさまざまな依頼・相談に対応しながら、ナレッジマネジメントの観点で業務改革を推進してきました。
ナレッジマネジメント導入前の課題
導入前には、大きく分けて次の3つの課題がありました。
- 情報の海に溺れていた
契約関連業務の情報量が膨大で、検索コストが非常に高い状態でした。その結果、情報が見つけられず、同じような質問が何度も繰り返されていました。せっかく作成したマニュアルも、情報の多さに埋もれて認知されないことが多くありました。 - 法務相談フォームがエンジニア依存だった
導入前から問い合わせを受けるためのシステム自体はあり、相談窓口の一本化やステータス管理はできていました。しかし、フォームの項目を変えるたびにエンジニアへ依頼する必要があり、変更に時間がかかる、技術的・仕様的な制約で実現できない要望がある、といった問題がありました。たとえば、対応時間を正確に把握するといったことが難しい状況でした。 - 業務が属人化していた
業務履歴がさまざまな場所に散在しており、過去の判断や経緯を追いづらい状況でした。専門性の高い仕事であるがゆえに、「この分野はこの人に聞く」といった形で特定の人に依存し、業務の属人化が進んでいました。
Confluenceを軸にしたナレッジの集約
こうした課題がある中で、2024年4月から全社的に「ナレッジをConfluenceに集約していく」取り組みがスタートしました。法務部門でも、ナレッジマネジメントの基盤としてConfluenceとJira Service Managementを採用しました。
まずConfluenceでは、全社向けのマニュアル置き場に法務関連のマニュアルを集約しました。さらに、マニュアル以外のナレッジを蓄積するために、法務専用のスペースを新たに作成しました。
スペースを設計する際には、スペース テンプレートを活用し、以下のような情報を整理して配置しました。
- 法務のFAQ
- 社内向けのお役立ちコンテンツ
- 法務チーム内向けのナレッジ
Confluenceを使ってみて特に良かったのは、ナレッジを構造化して蓄積できることです。ページの階層構造で情報を整理し、ラベルによるタグ付けで検索性を高めることができます。また、ページテンプレートを使うことで、ナレッジの粒度や形式を揃えられる点も大きなメリットでした。
その結果、ナレッジの一元化が進み、検索性が向上し、情報の鮮度も保てるようになりました。そして、高橋さんのパートでも触れられていた通り、ナレッジを整備することで社内のAIチャットボットの回答精度も向上し、それがさらにナレッジ整備のモチベーションにつながっています。
Jira Service Managementによる相談窓口の再構築
Jira Service Managementについては、2024年8月から法務の相談窓口としての構築を開始しました。
新しいツールを導入し、法務チーム自身で運用していくことに不安もありましたが、約1ヶ月間のテスト運用期間を設けることで、その不安を解消していきました。立ち上げの初期はIT部門の説明会に参加し、相談もしながら、二人三脚で構築を進めましたが、現在では法務チームのみでセルフ運用できるようになっています。
Jira Service Managementを導入してよかった点は大きく3つあります。
- ノーコードでフォームを構築できること
これまでエンジニアに依頼していたフォームの変更を、自分たちだけで行えるようになりました。実務に即したフォームを柔軟に作成できるため、最初から必要な項目をきちんと定義でき、問い合わせ時の追加のヒアリングが大幅に減りました。 - Automationによる業務の効率化
自動化ルールを設定することで、ステータス変更漏れを防ぎ、作業時間を正確に計測できるようになりました。また、担当者の自動アサインにより、マネージャーのタスク割り振りの負担を減らすとともに、業務の平準化にもつながっています。繰り返し作業の削減と人的ミスの防止に大きく貢献しています。 - ナレッジベースと連携したサービスデスク運用
問い合わせタイトルを入力すると、関連するナレッジを自動でサジェストしてくれるようになりました。さらに、仮想サービス エージェントを使うことで、法務マニュアルやFAQを元にAIが自動で一次回答を提示できるようになりました。
これらの取り組みにより、相談件数自体は年々増加している一方で、マニュアルに記載済みの事項に関する質問は大幅に減少しました。その結果、法務チームはよりコアな業務に集中できるようになっています。
データドリブンな法務運営へ
ConfluenceとJira Service Managementを組み合わせたことで、データに基づいた法務運営も可能になりました。
- Jira Service Managementで作業時間を正確に測定できるようになったことで、目標応答時間(SLA)や目標解決時間を設定しやすくなりました。各案件の進捗やSLA達成状況もリアルタイムに把握できます。
- JQLで作成したチケットのリストからダッシュボードを作成し、Confluenceに埋め込むことで、会議の議事録や進捗共有もわかりやすく行えるようになりました。
- Confluenceのアナリティクス機能を活用し、「どの記事がどのような読者に読まれているか」を分析しながら、ナレッジの質を高める改善サイクルを回しています。
単にナレッジを増やすのではなく、「読まれているコンテンツ」「価値を生んでいるコンテンツ」を見極めながら、先回りしてマニュアルやFAQを整備するサイクルが定着しつつあります。
Rovoでナレッジと過去チケットを活用した一次回答の自動生成
ここまでナレッジマネジメントを徹底しても、まだ次のようなモヤモヤが残っていました。
- 過去の類似相談やその回答を探すのに時間がかかる
- ナレッジを自分で探しにいく・読みにいく習慣を継続するのが難しい
- 担当者によって回答の質や粒度にばらつきがある
そこで、Rovoを活用し、Confluenceのナレッジと過去のJira Service Managementチケットの情報を組み合わせて、一次回答の案を自動生成する取り組みを始めました。
具体的には、次のような仕組みです。
- 法務専用のRovoエージェントを作成し、法務のナレッジベース(Confluence)とリーガル関連のチケット(Jira Service Management)を参照できるようにする。
- 業務部門から新規の相談があった際、Automationでこのエージェントを呼び出し、過去の相談やナレッジに基づいた一次回答案を自動生成する。
- 生成された一次回答案を、Jira Service Managementの内部コメントとして法務チームに共有し、それをもとに最終回答を人間が判断・作成する。
このプロセスにより、回答の質と粒度の標準化が進みました。また、その効果をチーム全体が体感できたことで、「ナレッジを貯める・更新する」という活動へのモチベーションも一層高まっています。
今後はRovoをさらに活用し、
- 契約書ドラフトを自動生成するエージェントの構築
- 相談チケットから汎用的なナレッジを抽出し、Confluence上のナレッジ記事に自動反映する仕組みづくり
などにもチャレンジしていきたいと考えています。
まとめ
フリーの法務部門では、まずConfluenceとJira Service Managementでナレッジと業務プロセスの基盤を整え、情報を集約し、データを分析できる環境を構築しました。さらにRovoを活用することで、蓄積したナレッジやデータを「現場で使える形」に変換し、業務の質と効率を同時に高めています。
こうして得られた業務改革の成果を、メンバー一人ひとりが実感できるようになったことで、ナレッジの活用はさらに加速しています。
この取り組みが、みなさんの組織における業務改革やナレッジマネジメントのヒントになれば幸いです。
秋山さんの発表資料はこちらからご確認いただけます。
懇親会スタート!
ドリンク&フードスポンサーとして協賛いただきましたリックソフトの福田さんに2回目の乾杯をお願いして懇親会がスタートしました。福田さんもリックソフトで法務を担当されているとのことで、今回の事例は非常に参考になったとのことでした。
そして最後はいつもの集合写真

ACE Tokyoではこのようにさまざまなテーマで情報の共有や議論を行っています。一人で悩むよりACE Tokyoでみんなと相談すれば、皆さんのナレッジを活用してより良い解決策を見つけることができます。
ぜひ、ご参加ください。
イベントはこちらのサイトで告知していますので、「Join」ボタンからご登録をお願いします。



