第79回 ACE Tokyo Online Meetup イベントレポート

みなさん、こんにちは。アトラシアンでコミュニティマーケティングを担当している新村です。今回は4月22日にオンラインで開催された第79回 ACE Tokyo Online Meetupの様子をレポートしたいと思います。ACE Tokyoはアトラシアンの公式コミュニティで、アトラシアンに関心を持つ皆様の交流の場として多くの参加者にお集まりいただいています。東京を中心に活動していますが、今後はオンライン、オフラインを交えつつ、多くの方にご参加いただける形を作っていきたいと思っています。

今回はINNOOVの高林さんにご登壇いただき、「Loomで変わる情報共有とAI活用 〜コンテクストを残すだけでAIの精度が上がる話〜」というテーマで、Loomで会議の記録を残し、そこで蓄積された文脈をAIの精度向上に繋げていくという事例を紹介いただきました。

また、私の方からも「Loom + Rovoの実践例:ACE Tokyoのセッションレポートはこう作られている!」というテーマでこのイベントレポートの作成の裏側を紹介しました。

早速、こちらのイベントの内容をレポートしていきたいと思います。


ACE Tokyoの紹介

まずはAdmin分科会のリーダーである高橋さんから、ACE Tokyoの紹介をしていただきました。ACEは日本独自のプログラムではなく、全世界で展開されているプログラムです。ACEはConnect Globaly, Meet localyというコンセプトのもと、運営されておりこう言った場での交流だけでなく、全世界のユーザーとも繋がるチャンスがあります。もし勇気があれば他の国のACEのイベントに参加しても良いのではないでしょうか?とおっしゃっていました。


Loomで変わる情報共有とAI活用 〜コンテクストを残すだけでAIの精度が上がる話〜

最初のセッションでは、INNOOV株式会社の高林さんから、会議の録画をLoomで一元管理し、その自動文字起こしと要約をConfluence/Jiraと連携させるワークフローをご紹介いただきました。ポイントは「会議そのものを"コンテクストごと"残しておくことで、後からAIが扱える情報に変換される」という考え方です。

まず高林様から、ご自身のキャリアとして大規模な業務プロセス改善やSaaS導入支援に長年取り組んできた背景が紹介されました。その中でAtlassian製品と出会い、リアルタイムに数千人規模が同じプラットフォームで仕事を進める体験に「これは仕事の進め方が変わる」と感じたことが、今のINNOOVでの活動につながっているといいます。

本題となるLoomの話では、Loomの進化を「世代」で捉えながら、どのように情報共有とAI活用が変わってきたかが整理されました。

第1世代:録画と文字起こし

まずは会議を録画し、後から文字起こしが利用できるフェーズです。以前は会議後しばらく時間が経たないと文字起こしが完了しないなど、あくまで「録画+テキストログ」の位置づけでした。

第2世代:Confluenceへの自動サマリとRovo連携

そこから、録画直後に比較的高速に文字起こしが行われ、さらにConfluenceに自動でサマリ付きのページを作成できるようになったことで状況が一変します。
会議が終わると、Loom側で「Recap(リキャップ)」が生成され、そのままConfluenceページとして保存されます。ページには

  • 会議の要約
  • 詳細なトランスクリプト(文字起こし)
  • 元のLoom動画

がひとまとまりで格納されるため、「議事録を人手で起こす」という作業がほぼ不要になります。

Confluenceにこうした記録が蓄積されることで、Rovoや他の大規模言語モデルが直接参照できるナレッジの母集団が一気に拡大します。「会議で何が決まったか」を、後からAIに質問して振り返る、といった使い方が現実的になってきたタイミングだと高林様は振り返ります。

第3世代:Confluence/Jiraとのより深い統合とタスク化

さらに最近では、Loom側の設定で「どのConfluenceスペース/どのJiraプロジェクトに記録を保存するか」をあらかじめ指定できるようになってきています。
これにより、

  • あるプロジェクトの会議は、指定したConfluenceスペースに自動でリキャップを保存
  • 将来的には、サマリ内容から直接関連するJiraのタスクを自動生成

といったワークフローが見えてきます。

ここで重要になるのが「コンテキストの範囲をきちんと絞り込む」ことです。AIにはコンテキストサイズの制約があるため、どのスペースやプロジェクトを見ればよいかを明示することで、AIの思考を深く・正確にすることができます。LoomがConfluence/Jiraと結びつき、「この会議で決まったこと」「それに紐づくチケット」「後続のドキュメント」が一連の流れでつながっていくことが大きな価値だと強調されました。

こうした仕組みによって、高林様のチームでは「議事録は基本的にLoom+Confluenceの自動生成に任せる」運用にほぼ移行しているとのことです。録画ボタンを押せば、

  1. 会議の録画
  2. 文字起こし
  3. サマリ付きの Confluence ページ
  4. (今後は)Jiraタスクの自動作成

までが人手を介さずに進む世界が見えています。

セッションのまとめとして高林様は、「AIの精度を上げるには、AIの"エサ"となる情報をどれだけ構造的に蓄積できるかが勝負」と述べました。いくら高性能なモデルを使っても、元になる情報がバラバラでコンテキストが欠落していれば、期待するアウトプットは得られません。
Loomで会議を記録し、それをConfluence/Jira上の構造化された情報に変換していくことは、車に例えれば、まさにAIが活躍するための「路面」や「足回り」を整える作業です。地味に見えても、ここをきちんと整備することで、開発スピードや意思決定の品質向上につながる――そんなメッセージが印象的なセッションでした。


Loom + Rovoの実践例:ACE Tokyoのセッションレポートはこう作られている!

後半のLightning Talkでは、アトラシアンの私(新村)から、「LoomとRovoを活用して他の方法で撮影した動画」から、どのように効率よくイベントレポートを作成しているかを短くご紹介しました。

ポイントは大きく3つです。

1.Rovoは動画そのものは読めないが、Loom経由なら"読める"情報に変換できる

Rovoは現時点では動画ファイルを直接理解できません。そこで、まず

  • セッションの動画をLoomにアップロード
  • Loomの自動文字起こし&サマリ機能でテキスト化

というステップを踏み、その結果をRovoに読み込ませています。
これにより、「動画の中身」をRovoが扱えるテキスト情報として利用できるようになります。

2.文字起こしだけでは足りない"文脈"を、人間が補うのがカギ

とはいえ、文字起こしだけでは、実際のセッションで伝わっていた情報の一部しか表現できません。次のような情報を追加でRovoに渡し、「文脈」を補っています。

  • 登壇時に使ったスライド資料(必要に応じて図表の説明も)
  • イベントページに記載された概要・目的
  • 想定読者や、「誰に何を持ち帰ってほしいセッションか」という意図

こうした情報をまとめて渡すことで、Rovoが「このセッションは何のための話なのか」を理解しやすくなり、レポートの質も安定します。

3.AIに"下書き"を任せ、人間が仕上げることで効率と質を両立

実際のレポート作成では、

  • Loom(文字起こし)+資料+イベント概要などをRovoに読み込ませる
  • 構成案など人間が作成し、ストーリーをRovoに伝える
  • 「ACE Tokyoのレポートとしてアトラシアン公式ブログに掲載する」ことを前提に、本文の下書きを生成してもらう
  • そのうえで、人間が読みやすさや表現を調整し、最終版に仕上げる

という流れをとっています。

これにより、以前は1本書き上げるのに丸1日かかっていたレポートが、今では大幅に短い時間で作成可能になりました。一方で、「イベントの狙いや、読者に伝えたいメッセージ」といった部分は、引き続き人間がRovoに情報として伝えることで、公式ブログとしての読み応えも維持できています。

「動画からの情報だけでは足りない文脈は人間が補い、そのうえでAIに書き起こしや構成を任せる」ことで、高い品質でイベントレポートを効率よく作成できる――LoomとRovoを組み合わせることで、そのワークフローが現実的な選択肢になってきている、ということが短いセッションの中でも伝えられました。


ACE Tokyoではこのようにさまざまなテーマで情報の共有や議論を行っています。一人で悩むよりACE Tokyoでみんなと相談すれば、皆さんのナレッジを活用してより良い解決策を見つけることができます。

イベントはこちらのサイトで告知していますので、「Join」ボタンからご登録をお願いします。

みなさんのご参加をお待ちしております。