アジャイルを始めよう – 毎日のスタンドアップミーティング

Per.png

*本ブログは ATLASSIAN blogs を翻訳したものです。本文中の日時などは投稿当時のものですのでご了承ください。
*原文 : 2009 年 6 月 17 日、Per Fragemann 投稿 “Getting Started With Agile – Daily Standup Meetings

アジャイルになるためのささやかな第一歩

agile_development_blog_badge-thumb-185x99.png

アジャイルになるには、たくさんの方法があります。そして、試してみると、ひどく失敗するたくさんの方法があることもわかるでしょう。純粋主義者
は、あなたが、本当のアジャイルの様式で全てをできるようになるまで、本当のアジャイルではない、と言うでしょう。それは真実かもしれません。しかしご注
意下さい –
同時に全てのことを開始しようとしないように。それは災害に備えたレシピのようなものです。アジャイルへの移行をスムーズにするために、このブログ記事
は、アジャイルを開始するためのシンプルな方法に焦点をあてています: 毎日のスタンドアップミーティングを実行することです。

なぜ、スタンドアップから開始するのか?なぜなら、それらは、伝統的なウォーターフォール環境を含む、いかなる環境においても完全にうまくいくから
です。そして、あなたがアジャイルで行うという意図を、上司に話すことなしに開始することすらできますし、最終的にアジャイルではない方法で行うと決定し
たとしても、良い結果を残すことができるでしょう。そうだとしても、毎日のスタンドアップは、あなたのお金を節約し、あなたを集中させます。

どのように行うのですか?

毎日のスタンドアップミーティングは、聞こえのとおり、シンプルなものです。

あなたはチームを、毎日同じ場所に集め、輪になって立たせ、そして皆が順番に 3 つのシンプルな質問に答えていきます:
昨日何をしたか、今日何をするか、そして仕事の進行を止める何かがあるか? 各人は平均で 1 分間を使い
(時々はもっと長く、時々はもっと短く)、そして全体では 10
分間を超えるべきではありません。たったそれだけです。ある意味では、これはとても古いやり方です。古代ギリシャ人がこれを行っていたとしても私は驚かな
いでしょう…

しかし注意してください! 毎日のスタンドアップミーティングはまた、聞こえよりも少し難しいのです。その “目新しさ”
の効果が終わり、長期的な観点で得られるものが完全に理解され始める前に、人々はたるんでしまう誘惑にかられるかもしれません。ですから、感じよくチーム
で会話をできるということの他に、長期的な便益に目を向けるようにしましょう…

どのように役立つのですか?

素早い毎日のスタンドアップミーティングを導入することは、私が思いつく中で、どのプロジェクトにとってももっとも安上がりで、驚くほどの改善がされますし、アジャイルチームにおけるコミュニケーションの基礎的な側面の一つでもあります。

  • あなたのチームにおける重複を避けるために役立つ: Sam が 2 か月前に既に解決した問題に、もし、Steve
    が取り組む計画を立てたならば、そのとき、Steve が時間を無駄にし始める以前に、Sam (あるいは他の誰か) が Steve
    にそれを指摘することは間違いありません;
  • 道を塞いでいるものを取り除くことができる:
    もし誰かが、何か特定のものにより仕事の進行を妨げられている場合、これはまさに、誰が助けることができるのかを確認すべき時です: “私はバグ X
    に取り組んでいますが進捗があまりありません。どなたか X が発生したのを見たことがありますか?
    スタンドアップミーティングの後で会話をしましょう”;
  • 道を塞いでいるものを見つけることができる: もし John が同じ話を 5 回連続でしたならば、彼以外の皆が、彼は深刻に行き詰まっていて救いの手が必要だということに気づくでしょう。ミーティングのすぐ後に彼をつかまえて、彼に救いの手をさしのべましょう;
  • チー
    ムの密着性とチームへの献身を後押しできる:

    皆が定期的に会話をすることにより、チームの密着性とチームへの献身は増加します。特に、あなたたち皆が同じ部屋で働いておらず、あるいはチームの別のメ
    ンバーが、同じプロジェクトの別の側面について取り組んでいるいる時などに、です;
  • プロジェクトマネージャーの説明責任が増加す
    る:

    毎日のスタンドアップミーティングにより、プロジェクトマネージャーはより説明をするようになるでしょう。あなたのマネージャーがステータスを尋ねに来た
    時に、あなたは彼にステータスを聞く勇気がありますか?おそらくないでしょう。しかし、毎日のスタンドアップミーティングにおいて、マネージャーは彼のス
    テータスを他の皆に報告します;
  • チームメンバーの説明責任が増加する: マネージャーは Sal が終了していることに気づかないかもしれません – 楽しみのためだけに解決策を加工していることに – しかし、チームの他のメンバーは気づくでしょう;
  • 透明性が拡大する:
    もしあなたがプロジェクトマネージャーだとしたら、そのプロジェクトはおそらくあなたにとってはすでに見えていることでしょう。しかし、チーム全体におけ
    る透明性にも非常に大きな価値があります。人々は機械ではなく、何が起こっているのかを知りたいと思っています。ここがその場所なのです!

何にコストがかかり、何がリスクですか?

確かに、毎日のスタンドアップミーティングは時間のかかることです。そして、何人かの人々は、他人の前で話すことが好きではありません。そして、時
にはそのミーティングが人々の重要な仕事を妨げてしまうこともあります。それらは全てもっともな指摘です。しかし、あなたはそれらを、このミーティングを
行わなかったことにより発生するコストと比較する必要があります。重複作業により、あるいは行き詰まっていることに人々が気づかないことにより、どれだけ
の仕事が失われることでしょうか?あなたにとってスタッフの保持がどれだけ重要か気づいているのでしょうか –
そして、これほどの低コストで開かれたコミュニケーションを得られるもっと良い方法があるのでしょうか?あなたが常識を知っていて、何人かの人々が時々
ミーティングを欠席したり、話すことが上手くなかったり (しかし、出席して聞いてはいる)
することを受け入れている限り、心配することはそれほどありません。

より大きなリスクは、自分の話を聞くのが好きな人々にあります。スタンドアップミーティングは、物語を話すためにあるのではありません。あなたは、
時間制限については厳守する必要があります。もし誰かが基準の 60 秒を超過した場合、普通は “時間超過のサイン”
を示すような笑顔が役に立つでしょう。よくある問題は、上司が 60 秒の持ち時間を5
分間のスピーチに変えてしまいがちであることです。彼が他の誰よりも重要であるように見えることを確認するかのように。誰かが勇気を持って言う必要があり
ます –
友好的な感じで、そしてその上司のタイプによってはミーティングの後でこれを言う方がよいかもしれません。対立をしないために。同じことがディスカッショ
ンにも当てはまります。スタンドアップミーティングはディスカッションのためにあるのではありません。それはディスカッションを促進しますが、しかしスタ
ンドアップミーティングの後で、本当にそれを気にしている人々のみによって行われるべきです。もし、誰かが、他の誰かが言ったことについてしばしば議論を
開始するようであれば、彼らを連れ出し、議論することは素晴らしいがミーティングの後で行う必要があるということを説明しましょう。

ミーティングが集中して行われ、素早く時間通りに終了するように仕切る一人の人を ‘スタンドアップ・チャンピオン’
として指名することは役立つことでしょう。この人はまた、確実にミーティングが最初に行われるようにしますので、”スタンドアップの時間です、みなさ
ん!” と叫ぶことができないほど内気であってはいけません。

そして、それについてのアジャイルとは?

アジャイルへ変更をせずとも、スタンドアップを開始することができます。しかし、”単に”
効率的になる、透過的になる、チームが構築できるということよりも、そのインパクトは大きいのです。スタンドアップミーティングは、素早く、その日の触媒
ミーティングへとなります。それは、”大計画”
にて考慮されていなかった事柄についての議論を定期的に生み出します。それは、問題を早期に発見するために役立ちます。あなたは早く良い点と悪い点につい
て知ることができるので、ロードマップを再構成するために役立ちます。毎日、同じ報告を話したい (あるいは聞きたい)
人は誰もいないので、それは、タスクをより頻繁にまとめることや、より小さい増分についてタスクに取り組むことを人々に促します。スタンドアップミーティ
ングは、あなたをアジャイルにするわけではありありませんが、それなしにアジャイルを実践することはより難しいでしょう。そして、それはアジリティへ続
く、あなたの長くて曲がりくねった道の素晴らしい最初の一歩になります。

Q & A

開始するのによい時はいつですか?

変化をするときはいつでも、注意深くいる必要があります。人々はしばしば変化をためらいます。特に、もし彼らが、効果を発揮する以前の、頻繁で無作
為な変更に従っていた場合です。そして、緊張がすでに高まっていたり、あるいはあなたが新参者でまだ信用を得ていない場合は、これを導入するべきではない
でしょう。ソフトウェア開発の期間において、あなたのソフトウェアの現在のバージョンが出荷され、製品立ち上げ後のパーティを皆が楽しんでいる時まで、
待ってみてはいかがでしょうか?
各変更の際には、実際に開始する前に、まず提案をして、それをチームや関係の深いステークホルダーと議論して、そして彼らのフィードバックを取り入れてく
ださい。新しいことを試みるのが好きな人々により小集団を構成し、そこで試してみるのも良いかもしれません。ただ、皆がそのことを知らされておくように確
認してください。

それはいつも必要ですか? 私たちは危機の時だけスタンドアップミーティングを行うことができるでしょうか?

スタンドアップミーティングは、緊張と危機が高まっている時に、素晴らしく作用します。それにより、あなたを集中し、不必要な仕事に取り組むことを
避けることができます。しかし、自分自身に聞いてみてください:
初めの段階で、どのように、緊張と危機を避けることができるのか?初めの段階で、道に迷わないようにしてはどうでしょうか、そして不必要な仕事を避けてみ
てはどうでしょうか?スタンドアップミーティングは、銀の弾丸 (注: 特効薬)
ではありませんが、早期に問題をつかまえることにより危機を避けるのに役立ちます。

それでは、週に 1 回だけ実施するのはどうでしょうか? それは私たちの時間をいくらか節約しますか?

その反対が真実です: 人々はもっと長く話してしまうでしょう。人々は、より多く用意してしまうでしょう (もし週に 1
回しか話せないのであれば、彼らは目立ちたいと思うでしょう !)
この先にある週への集中が分散してしまうでしょう。もし誰かが重複した仕事をしていた場合、時間を節約するには手遅れとなるでしょう。もし誰かが行き詰
まっていた場合、彼女はしばらくの間、行き詰まったままでしょう。その他のことも同様です。毎週のミーティングはまた、実施する価値はありますが、そこで
は、先にある仕事の計画や議論などもっと大きな課題を扱うべきでしょう。そしてその議論に実際に必要な関係者だけにより行われるべきでしょう。

座って行うことはできますか? 立っているのは快適ではありません…

あなたは、要点を外しています。それは、落ち着かない状態であるべきなのです!あなたは、そのミーティングを短く保つ必要があります。もし、皆が快
適な椅子に座り、おいしいコーヒーを飲んでいたら、ミーティングを短く終わらせるチャンスはどこへいってしまうでしょうか?テーブルに寄りかかることすら
やめてください – HTFU mate (注: 強くなろうぜ、相棒!)

これを正当化するのに私のチームは十分大きいですか?

私は以前の仕事において、スタンドアップは、たった 5
人のチームには不必要だと考えていました。結局、私たちはすでに同じ部屋に座って、たくさんの議論を重ね、そして個々のデベロッパーとすでにとても頻繁に
話していたからです。私たちは、8 人から 10 人ぐらいのデベロッパーに増えた時だけ、開始しました。それを行った時だけ、最初の 5
人のデベロッパーが行っていたこと (そして行っていなかったこと…)
を私はまったく把握できていなかったことに気づきました。そして、もちろん、同僚に対する透明性の改善度は、私にとってもより大きいものになりました。ス
タンドアップミーティングは、たった 3 人でも理にかなうもので、結局、すべての重複作業は、いつでも避けられるべきなのです。そして、たった 3
人のチームでも、あなたはとにかく、3 分から 5 分は行うべきです。

このコストを正当化するのに私のチームは大きすぎますか?

もし、16 人が 1 日 15 分を費やした場合、それは 1 日あたり 4 時間になり、1 週あたり 20
時間にもなります。これはもちろん、各人の時間にするとたった 3% です。チームにはとにかくコミュニケーションが必要ですので、3%
は悪くない数字でしょう。しかし、その代わりに、もしあなたのチームがとても大きくて人々がその時間について文句を言い始めたり、あるいは、人々が居眠り
をするようであれば、あなたは再考すべきでしょう。Confluence のチームにおいて、18 人になったとき、私たちは大きなスタンドアップを
2 つのミーティングに分割することを決めました。私たちのチームは、4 つのサブチームから構成されており、今ではローテーションも行っています。2
週の間、サブチーム A とサブチーム B は 9:45 にミーティングを行い、そして C と D は 10:00 に行います。次の 2
週間は、サブチーム A とサブチーム C は 9:45 にミーティングを行い、そして B と D は 10:00
に行います。そのように進めます。何人かの人々は 2
週間毎にしか会えないため、明らかに、あなたは少し情報共有不足になるでしょう。しかし、もちろん、情報共有のためには他にもたくさんの方法があります。
ウィキページ、ウィキへのブログ投稿、ウィキでの議論、そして (時々)
古き良き電子メールは、結局、スタンドアップによって取って代わられることはありません。

ミーティングの時間はいつが良いですか?

それは本当にあなたのチーム次第です。もしあなた方が、朝同じ時間に働き始めるのであれば、その時間が理想的です。しかし、もし人々が午前
8:00 から 10:30
の間にボツボツと働き始めるのであれば、その間はどの時間もよくないでしょう。なぜなら、早く来た人の気を散らすでしょうし、あるいは遅く来た人は参加で
きないからです。皆が昼食に出かける直前の時間に行うのを検討するのが良いかもしれません
(これは実際には、皆を同じ時間に昼食に行かせるのに役立ちます)。あるいは、単に 10:30
に行うのもよいでしょう。ただ、チームに決めさせるように注意してください。そしてしばしば、あなたの決定を見直すことにも注意してください。最初はもし
かしたら午前 8:00
が良い時間に思えるかもしれませんが、思ったよりも交通手段の信頼性が低く、その時間は良くないことにひとたび気づいたら、スケジュールを変更するのが良
いでしょう。例えば 4 週間後に時間を見直すということを、皆に伝えるのが良いでしょう。

他のアジャイルプラクティスについて学ぶ

それは、興味深い紹介でした – どこでもっと学ぶことができますか?

スタンドアップのパターンとアンチパターンの豊富な資料として Martin Fowler をご覧になってみてください。私はまた、アトラシアンがアジャイル開発をどのように実践しているのかご覧になることをおすすめします。

関連記事

  • Martin Fowler (It’s Not Just Standing Up: Patterns of Daily Stand-up Meetings, Jason Yip) 日本語訳