(事例) 開発環境の標準化により全体最適を目指す SIer、グロースエクスパートナーズ

本日は、グロースエクスパートナーズ株式会社 (以下、GxP) のチーフ IT アーキテクト 鈴木雄介様、テクニカルフェロー 北條育男様、コンサルティングエンジニア 三上公明様、マーケティングプロデューサー 望月雅之様に話をお伺いしました。GxP は顧客の要望に応えシステムを開発、運用するシステムインテグレーターです。(写真左から、望月様、北條様、三上様、鈴木様)

どのアトラシアン製品を使っていますか?

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課題管理システムの JIRA と企業向け Wiki の Confluence を使用しています。JIRA、Confluence ともに受託した開発案件に使用しています。弊社では開発環境を標準化し、どのプロジェクト(開発案件)でも同じ開発環境で作業を行うようにしています。JIRA と Confluence はその一部です。

「開発環境の標準化」の内容について詳しく教えてください

開発環境には開発作業を行なう上で必要になる全てのツールが含まれています。具体的には JIRA、Confluence の他、Subversion(バージョン管理)、Maven(構成管理)、Eclipse(IDE)、Jenkins (Hudson)(CI)などが挙げられます。弊社は大半の案件をプライムベンダー(顧客から直接受注)として受注しており、社内で開発を行なっています。こうした案件では自社で開発環境を用意する必要がありますが、毎回セットアップしていては手間になります。そこで開発環境の構成を標準化して横断的に利用しているのです。また、開発環境の導入作業は社内の専任チームが担当しています。開発案件の開始時に PM が作成した申請書に従ってツールのセットアップが行なわれます。例えば JIRA、Confluence であればテンプレートを使ってプロジェクトを作成します。他にもメーリングリストの登録、ファイルサーバーや各ツールのユーザー管理などを行います。なお全てのツールは弊社内にある仮想化サーバー上で運用されています。

こうした取り組みにより会社全体としての作業効率が向上していると認識しています。

(なお、標準化の内容については Agile Japan 2010 で講演も行っていますので、発表スライドもご参考にしてください。)

アトラシアン製品を使い始めたきっかけは?

アトラシアン製品を使い始めたのは今から 5、6 年前のことです。前身の会社の時代から使用しています。それ以前は取引先の状況により、Excel や作り込んだ課題管理ツールを使用することもありました。しかし、Excel だとファイルを複製できてしまうので一元的に管理ができない、作り込んだツールでは項目が多すぎて1つの課題を入力するのに 30 分もかかってしまうなどの問題があり、社内では一般的な課題管理ツールを使うべきだという認識が一般的でした。

しかし、 当時は Bugzilla、Mantis といった複数のオープンソースソフトウェアを使用していました。これでは各製品により管理方法が異なるので、異動などで担当者がいなくなってしまうとその後の運用が滞ってしまうことが問題になっていました。そこで全体の効率を上げるために、ツールを統一しようと考え、複数の製品を比較しアトラシアンの JIRA をバグ管理、課題管理のために採用しました。JIRA は、多くのオープンソースプロジェクトが課題管理システムとして次々に採用していたので、目にする機会が多く印象に残っていました。

JIRA を選んだ理由は?

理由は 3 つあります。1 つ目は運用が簡単な点です。当時、比較したツールの一つが Bugzilla でした。Bugzilla はセットアップが煩雑で、基本的には1案件毎に1サーバーを準備する必要があり手間がかかりました。その点、JIRA はセットアップが容易でしたし、1サーバーで複数のプロジェクトの設定が可能で、使い勝手も良かったのです。

2 つ目はユーザーにとっての使いやすさです。画面のデザインもシンプルでセンスが良い。また案件ごとに項目のカスタマイズがあっても簡単に対応ができます。

最後はセキュリティです。JIRA はエンタープライズ向けの製品であるため、アクセス管理などのセキュリティ面がしっかりしています。案件事に権限を管理することで外注先のエンジニアだけでなく顧客の担当者などと共同で使用しています。JIRA は有償ですが、それだけの価値はあると考えています。

他に気に入っている点は?

JIRA からExcel へのエクスポートが簡単にできる点です。顧客との定期ミーティングの際に Excel の表形式で課題管理の内容を配布しています。

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またリリースノート作成機能も重宝しています。ミーティング毎にバージョンを区切り、リリースノート機能を使うことによって、前回ミーティングの時との課題の差分一覧を出力できます。

Wiki もお使いですね?

はい。JIRA を導入してから 1 年後ぐらいに Confluence を導入しました。プロジェクトの成果物となる設計書などは Excel や Word で作成しますが、そういった資料の補足説明やプロジェクトメンバー向けにガイドを提供する用途で Wiki を使用して文書を作成しています。JIRA と同様に、開発案件毎に一つのスペースを作成して使っています。

Confluence を選んだ理由は?

Confluence 導入以前は、オープンソースソフトウェアの MediaWiki や PukiWiki を使用していました。Confluence を選定したのは、セキュリティ機能(アクセス管理)、セットアップの容易さ、複数プロジェクトへの対応、使い勝手の良さ、などが理由です。JIRA とほぼ同様の理由です。最近では Redmine のように Wiki 機能が付属した課題管理システムもあり、小規模なプロジェクトでは使えるかもしれません。しかし、Wiki 記法が分からないと文書が作成できないので、Wiki としては一般的なユーザーにとっての使い勝手が良くないと感じています。

何か要望はありますか?

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Confluence でいくつか追加してほしい機能があります。セクション毎の編集 (Sectional Editing) と子ページ一括の Word 出力 (Exporting of pages together with children in Word) 機能です。プロジェクト成果物を顧客へ提出する際に、子ページを一括して Word に出力できるととても便利なのでぜひ実装して欲しいと思います。

今後の予定は?

導入やメンテナンスの体制が整い、社員全員が JIRA と Confluence を気軽に運用できるようなった状態です。次はツール間の連携や、顧客に活用してもらうことなどさらにツールを活用できるように考えます。JIRA のダッシュボードをもっと使用したり、興味のある Confluence のプラグインを実際に導入することなども検討しています。

グロースエクスパートナーズの皆様、ありがとうございました!

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